2022 Fiscal Year Research-status Report
Pilot study for identification of familial lung cancer susceptible genes
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21K07111
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
安田 純 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 部長 (00281684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 信 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 研究員 (10724619)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺がん / 遺伝性腫瘍 / エキソーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
非小細胞肺癌の発生には環境・行動因子の他、遺伝的要因も寄与するとされる。家族発症肺癌症例の全エクソーム解析(WES)を行った報告は世界的にも少ない。宮城県立がんセンター呼吸器外科において家族で肺癌を発症し手術を受けた患者23人の臨床情報と病理標本を収集した。このうち17例について生殖細胞系列と体細胞系列の両方のWESを行った。17例の体細胞系列ではEGFRとTP53遺伝子など頻出の変異が検出された。生殖細胞系列の多くの変異は標準ゲノムと同一であったが、Miller症候群の原因遺伝子であるDHODH遺伝子の非同義変異p.A347Tが同一家系内で共有されていた。今回確認できた変異は本邦の報告からも病的変異とされている。96種類のSNVのパターンの主成分分析 では各家族で体細胞SNVを誘発する独自のメカニズムが示唆された。この統計解析の設計にはchatGPTを採用 した。DHODH変異陽性のペアについて体細胞一塩基置換(SNV)を解析したところ、相同組み換え修復欠損、DNAミスマッチ修復、紫外線曝露を示す変異シグネチャーを検出した。DHODHはde novoピリミジン合成に関与している。この遺伝子の病的変異によりピリミジン合成が低下しDNA修復が阻害され肺癌の発癌に寄与する可能性が示唆された。これは変異シグナチャー解析でこの病的変異を持つ症例においてDNA修復異常と関連する変異シグナチャーが得られたことと一致 する。【結語】家族発症肺癌17症例について生殖細胞、体細胞の両系列においてWESを行いSNVのPCA解析から各家族内においては類似した発癌素因がある可能性が示唆された。また1家系の体細胞系列においてDHODHの病的変異が検出された。この遺伝子変異によりピリミジン供給が不足し遺伝子修復機構が阻害されることで肺癌発癌に影響している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
成果を欧文誌に投稿できたから、一定の水準に到達したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究で、宮城県南部というある程度限定的な領域と想定していたが、想定以上にゲノム配列の多様性が観察されたことから、同様の探索を続ける意義は大きくないと想定される。一方でこれまで指摘されたことのないピリミジン代謝に関連する遺伝子多型が肺癌発症などに関与する可能性が得られたことから、DHODH遺伝子の機能解析と発がんに関連した研究を進める。具体的にはDHODH p.A347Tノックインマウスなどでの発がん実験などで今回の観察結果の確認は検討すべき重要な実験系と思われる。特に、このノックインマウスとkras活性化型トランスジェニックマウスやTrp53欠損マウスと掛け合わせることでの造腫瘍効果の増強などを検討することで、生殖細胞変異と他遺伝子体細胞変異とが組み合わさって発癌に至る可能性を追究したい。また、UK Biobank (38)やTMMコホート(39)のような前向きゲノムコホートデータは、DHODH遺伝子の変異体が肺がん発生に寄与している可能性、特に同遺伝子の変異がNSCLCの発生を引き起こす際に関連する環境曝露について、より包括的な証拠を提供するこちが期待される。今後はこのような動物実験を実施する前の、培養細胞系による類似の解析を実施し、細胞増殖能や細胞分化能、アポトーシス耐性化などの細胞生物学的解析を実施する。
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Causes of Carryover |
論文作成に時間がかかり、十分な細胞生物学的実験を組むことができなかった。今後分子生物学的試薬(プラスミド生成など)で約40万、細胞生物学的試薬(培地、トランスフェクション試薬など)で60万円、一般消耗品(フラスコ、ピペットマン、シリンジなど)で約30万円の執行を予定している。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] Exploration of BRCA1/2 gene variants in a general population cohort and return of genomic results to the participants2022
Author(s)
徳永 英樹, 安田 純, 島田 宗昭, 濱中 洋平, 重田 昌吾, 布施 昇男, 勝岡 史城, 荻島 創一, 山口 由美, 寳澤 篤, 川目 裕, 大根田 絹子, 青木 洋子, 山本 雅之, 八重樫 伸生
Organizer
第81回日本癌学会学術総会
Invited
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