2021 Fiscal Year Research-status Report
シングルセル解析による腫瘍微小環境PD-1陽性制御性T細胞の分化メカニズムの解明
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21K07112
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
入江 拓磨 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 研究員 (50625944)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / シングルセルRNA-seq / シングルセルATAC-seq / 腫瘍免疫学 / 腫瘍浸潤リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの固形腫瘍局所には活性化制御性T細胞が多く浸潤し、がんに対する免疫応答を抑制していることが知られているが、腫瘍局所での制御性T細胞の多様性やそれぞれの細胞集団の働き、腫瘍特異的な表現型への変化やエピゲノムによる分化の制御に関しては解明されていない点が多い。我々の研究室では、腫瘍環境下の制御性T細胞におけるPD-1発現が、制御性T細胞の機能の抑制に関わること、免疫チェックポイント阻害薬によってその抑制が解除されることを明らかにした。しかしながら、腫瘍局所のPD-1陽性制御性T細胞の表現型やクロマチン状態の詳細に関しては不明な点が多い。本研究では、制御性T細胞のシングルセルレベルのオープンクロマチン解析とトランスクリプトーム解析を実施することで、腫瘍環境下における制御性T細胞の機能の変遷を明らかにする、特にPD-1陽性制御性T細胞への分化過程に着目し、その生物学的意義を明らかにし、将来的に新規のがん免疫療法の効果予測マーカーや制御性T細胞を標的とした免疫療法の開発を目指す。 本年度はヒトの肺がん、胃がん浸潤制御性T細胞のシングルセル解析を実施した。また肺がんについては正常部位の検体も得ることができ,併せて制御性T細胞のシングルセル解析を実施した。バイオインフォマティクス解析によって腫瘍局所の制御性T細胞の遺伝子発現プロファイルおよびエピジェネティクス状態があり複数の細胞集団に分類することができ、そのうちPD-1を発現するクラスターを同定した。Monocle解析によって擬時間によってPD-1が増加しそれに伴い変動する転写因子をいくつか同定することができた。現在in vitro、in vivoの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定している症例数の制御性T細胞の検体を得ることができた。バイオインフォマティクス解析によって幾つかの因子を推定することができ、in vivo、in vitroによる解析も進めている。これまで得られた研究成果をもとに論文を投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もバイオインフォマティクス解析を実施し、腫瘍局所の制御性T細胞の分化メカニズムの解析を行うとともに得られた結果からについてin vitro, in vivo解析を進める。現状ではシングルセルATAC-seqとシングルセルRNA-seqの細胞集団の関連付けについて情報学的な統合が困難であったため、腫瘍浸潤制御性T細胞のATAC,RNAのマルチオーム解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度にマルチオーム解析を実施する計画に変更したため。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] PD-1 blockade therapy promotes infiltration of tumor-attacking exhausted T?cell clonotypes2022
Author(s)
Nagasaki J, Inozume T, Sax N, Ariyasu R, Ishikawa M, Yamashita K, Kawazu M, Ueno T, Irie T, Tanji E, Morinaga T, Honobe A, Ohnuma T, Yoshino M, Iwata T, Kawase K, Sasaki K, Hanazawa T, Kochin V, Kawamura T, Matsue H, Hino M, Mano H, Suzuki Y, Nishikawa H, Togashi Y.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 38
Pages: 110331~110331
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Highly immunogenic cancer cells require activation of the WNT pathway for immunological escape2021
Author(s)
Takeuchi Y, Tanegashima T, Sato E, Irie T, Sai A, Itahashi K, Kumagai S, Tada Y, Togashi Y, Koyama S, Akbay EA, Karasaki T, Kataoka K, Funaki S, Shintani Y, Nagatomo I, Kida H, Ishii G, Miyoshi T, Aokage K, Kakimi K, Ogawa S, Okumura M, Eto M, Kumanogoh A, Tsuboi M, Nishikawa H.
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Journal Title
Science Immunology
Volume: 6
Pages: eabc6424
DOI
Peer Reviewed
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