2022 Fiscal Year Research-status Report
フローサイトメトリーを用いた細胞外小胞の1粒子解析
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21K07173
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉田 孟史 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (60635100)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / ホスファチジルセリン / フローサイトメトリー / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞が分泌する直径30-150 nmの細胞外小胞(sEV)は細胞間情報伝達や代謝物の排出を行っており、様々な疾患の進行に関わっていることからsEVの検出による疾患診断法の確立が期待されている。疾患の早期診断や正確診断のためにはレアポピュレーションの検出と複数分子の検出に優位性があるフローサイトメーターを利用した一粒子解析が有用と考えられる。本研究では、フローサイトメーターを用いたsEV表面タンパク質、脂質、sEV内包microRNA(miRNA)解析技術を確立し、がん診断法に資する解析法の確立を目指す。これまでに1粒子解析が可能であるかの検証、タンパク質染色法の確立、脂質染色法の確立を完了しており、2022年度は定量解析法の確立、多様な細胞での解析を実施した。定量解析法の確立は、フローサイトメーターNanoFCMを用いて標準ビーズを用いた補正によるsEV粒子数の算出をおこなった。NanoFCMで得られた粒子濃度はNTA法で得られた粒子濃度と比較したところ、NanoFCMの方が若干高い粒子濃度を示す傾向にあった。これはNanoFCMが微小な粒子まで検出可能であることによると考えられる。多様な細胞での解析では、これまで使用してきた293T細胞由来sEVだけでなく、異なる口腔がん患者由来細胞OSC-20、HOC313、OSC-19細胞が分泌したsEVのPD-L1発現量を解析した。その結果、OSC-19細胞のsEVはPD-L1陽性sEVが約5%存在したが、その他の細胞のsEVではPD-L1陽性sEVは2%以下であった。以上のように、フローサイトメーターを用いたsEV解析に必要な、sEV上のタンパク質、脂質の定性解析および粒子数の定量解析が可能となり、多様な細胞が分泌するsEVを定性的に解析可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フローサイトメトリ―を用いたsEVの解析に必要な定性解析法、定量解析法を確立した。さらに、多様ながん細胞が分泌するsEVの定性解析を実施し、がん細胞sEVの性質の違いを明らかにした。本研究は、当初の予定通りおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、フローサイトメーターを用いたsEV解析に必要なsEV上のタンパク質、脂質の定性解析および粒子数の定量解析が可能となった。確立したsEV解析技術を用いて多様な細胞が分泌するsEVの定性的な解析を実施し興味深い知見を得ている。最終年度は、血液などのクルードな試料に含まれるsEVの解析を想定して、高純度sEV精製法の重要性について評価を実施する予定である。また、これらの成果を学術論文として発表することを目指す。
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Research Products
(6 results)