2023 Fiscal Year Annual Research Report
フローサイトメトリーを用いた細胞外小胞の1粒子解析
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21K07173
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉田 孟史 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (60635100)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / ホスファチジルセリン / フローサイトメトリー / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞が分泌する直径30-150 nmの細胞外小胞(sEV)は細胞間情報伝達や代謝物の排出を行っており、様々な疾患の進行に関わっていることからsEVの検出による疾患診断法の確立が期待されている。疾患の早期診断や正確診断のためにはレアポピュレーションの検出と複数分子の検出に優位性があるフローサイトメーターを利用した一粒子解析が有用と考えられる。本研究では、フローサイトメーターを用いたsEV表面タンパク質、脂質、sEV内包microRNA(miRNA)解析技術を確立し、がん診断法に資する解析法の確立を目指す。これまでに1粒子解析が可能であるかの検証、タンパク質染色法の確立、脂質染色法の確立、定量解析法の確立をおこなった。最終年度は、構築したフローサイトメーターを利用したsEVの一粒子解析法の有用性をがん細胞分泌sEVの解析実験および分泌経路の異なるsEVの解析実験において検証した。 がん細胞分泌sEVの解析実験では、口腔がん患者由来細胞においてIFN-γ刺激によるPD-L1発現誘導の検出を試みた。その結果、OSC-19細胞ではIFN-γ刺激によるPD-L1陽性sEVの上昇が観察されたが、HOC313細胞ではPD-L1陽性sEVの割合に変化は見られなかった。このことから、PD-L1陽性sEVは一部のsEVに限られ、その割合は細胞によって異なることを明らかとした。分泌経路の異なるsEVの解析では、ALIX, HGSまたはTSG101欠損293T細胞が分泌するsEVについてテトラスパニンの発現を解析した。その結果、ALIXは一部のCD63陽性sEVの生成に、HGSはCD63陽性sEVs全体の生成に、TSG101は全テトラスパニン陽性sEVの産生に関与することを明らかとした。本研究の結果、sEVのフローサイトメトリーはがん由来sEVの診断や分子生物学的解析に有用であることが示された。
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