2021 Fiscal Year Research-status Report
扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんの病態背景の解明と新規治療法の開発
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21K07419
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
國井 美紗子 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (80725200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 宏 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10326035)
東山 雄一 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10722449)
田中 章景 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30378012)
多田 美紀子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30722467)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 扁桃体腫大 / 側頭葉てんかん / 辺縁系脳炎 / 自己免疫性脳炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、TLE-AE患者から得られた髄液検体及び切除脳検体を用いた網羅的解析を行い、TLE-AEの背景疾患の解明及び適切な治療法の開発を目指している。 これまで20名以上の患者の収集に成功している。扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかん患者に対し、プロトコールに則り画像検査、髄液検査などの検査を施行し、炎症所見を認めた患者に対して適切な免疫治療を行っている。抗LGI1抗体や抗GAD抗体などの特定の自己抗体が検出され免疫治療が奏功した症例も存在し、全体に占める辺縁系脳炎の割合は高くないものの一定数存在していることが想定される。扁桃体腫大を伴いてんかんを主徴として慢性に経過する症例では、適切な診断をうけていない患者がまだ存在する可能性が考えられ、引き続き患者の収集、解析を続ける予定である。 一方で、髄液などに異常所見がなく、少量の抗てんかん薬でコントロール良好な症例も存在した。もともと扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんは、難治性の側頭葉てんかん患者より発見されてきた経緯があるが、実際には難治ではない症例でも扁桃体腫大を認める症例も散見することも確認された。当初より背景病態は多岐にわたることが推測されていたが、さらにコントロール良好なてんかん患者で扁桃体腫大を認める症例についても積極的にデータを収集し、背景疾患の解明に務める。 また、外科的切除はまだ施行に至っていないが、今後手術を検討している症例が存在し、検体が得られればさらに病理学的評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者収集は順調にすすんでおり、検査プロトコールに則り各種画像検査、髄液検査など施行している。特に扁桃体の体積の算出については画像解析を積極的に行っており、免疫治療を施行した患者では施行前後の体積の変化を見るべく経過を追っている。現時点では、急性の自己免疫性脳炎の病態で発症した症例では体積変化が見られるが、てんかん症状のみで慢性経過の症例においては顕著な体積変化は認められていない。引き続き症例を蓄積する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では外科的切除に至った症例はまだいないが、今後手術を検討している症例は存在する。切除検体が得られれば病理所見からさらに背景疾患の解明につながることができると考えられる。切除前後では扁桃体が関与する相貌認知、感情などに対する検査バッテリーを施行し切除による心理学的影響も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はヒト病理検体の評価を行う症例がなかったことや、髄液を用いたエクソソーム解析は症例数の蓄積を待ってからまとめて解析する方針となったことなどから、次年度使用が生じている。2021年度に引き続き、2022年度も髄液エクソソーム解析,免疫複合体の検出及びマススクリーニングを行い、外科的手術による検体が得られた際には組織からDNAを抽出し体細胞遺伝子変異の検出を行う予定であり、次年度に530千円を使用する見込みがある。
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