2022 Fiscal Year Research-status Report
新規リソソーム分布制御機構に着目したPD治療薬の探索
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21K07425
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
笹澤 有紀子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20594922)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リソソーム / 逆行輸送 / パーキンソン病 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はパーキンソン病の分子病態解明のためにメタボローム解析を実施し、ポリアミン代謝が変動すること (Ann Neurol, 2019)、および、その過程で生じる毒性アルデヒドであるアクロレインが上昇することを明らかにしてきた。アクロレインはリン酸化JIP4を介する新規分子機構によってリソソーム分布をMTOC周辺に変化させることを見出した。昨年度までに、アクロレインによりJIP4のT217が直接リン酸化されること、そのリン酸化がアクロレインによるリソソームの集積に必須であることを示してきた。本年度は、リソソームの集積の意義を明らかにするためJIP4ノックアウト細胞を用いた解析を行った。JIP4ノックアウト細胞ではアクロレインによるリソソーム集積が誘導されないが、オートファジーもペアレント細胞に比べ起こらなかったことから、アクロレインはリソソーム集積を介してオートファジーを誘導することを明らかにした。また、高濃度のアクロレインは細胞死を誘導するが、JIP4ノックアウト細胞では、Parent細胞に比べ、より細胞死が誘導されることが示された。以上よりアクロレインによるJIP4を介したリソソーム集積およびその下流のオートファジーは、アクロレイン自身の毒性に対する防御応答であることが明らかになった。また、過酸化水素水の添加でもアクロレインと同様の経路でリソソーム集積が誘導されることがわかり、一連の細胞応答は、酸化ストレス応答の一つであることが示唆された(EMBO J, 2022)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、アクロレインによるリソソーム集積が酸化ストレスによるものであることを示した点、さらにリソソーム集積が酸化ストレスに対する細胞防御応答であることを見出した点から、アクロレインが誘導するリソソーム集積は当初想定していたよりも普遍的な細胞応答であることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
アクロレインによりリソソーム集積が誘導される際に、JIP4がTRPML1-ALG2と相互作用することを見出してきた。しかし、これらは間接的な相互作用であったため、そこに関わるタンパク質群を同定する予定である。さらに、本機構を調節する化合物を同定する予定である。
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Causes of Carryover |
研究に思わぬ進展が生じたため、当初2022年に予定していた化合物スクリーニングを2023年に変更した。そのため2023年にスクリーニング費用として使用する。
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Research Products
(10 results)