2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞形態を可視化する先進的MRIによる脳腫瘍診断法の開発
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21K07569
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉浦 敬 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40322747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 清央 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (30593652)
中條 正典 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (60727171)
熊澤 誠志 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (50363354)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MRI / 脳腫瘍 / 拡散強調画像 / 細胞形態 / 拡散異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞形態を反映し得る拡散強調画像法として、double diffusion encoding(DDE)法のパルスシーケンスを臨床用3T MRI装置に実装した。このシーケンスでは、正20面体の12の頂点の方向に第1のMPGを加え、そのそれぞれについて、第2のMPGを、第1のMPGと同方向および直行する5方向に加える(合計72方向およびb0)。第1と第2のMPGが同方向と直行する場合の信号強度変化から、ボクセル内の微小領域の拡散異方性である、microscopic fractional anisotropy(mFA)を計算することができた。これらを用いて、脳腫瘍患者での検討を行った。まず、病理学的に細長い細胞が束状に配列するmeningiomaと、細胞形態が球形ないし多形性を示すglioblastomaを比較することで、mFAが腫瘍細胞形態を含めた組織微小構造を反映することを検証した。44症例のglioblastomaと42症例のmeningiomaをDDE-MRIを用いて撮影し、腫瘍内の充実成分における平均FAおよび平均mFAを比較した。その結果、meningiomaのFAはglioblastomaより有意に高値であった(0.219±0.093 vs. 0.155±0.085; P=0.0003)。一方、mFAもmeningiomaでglioblastomaより有意に高値であった(0.655±0.151 vs 0.400±0.147; P<0.0001)。ROC解析の結果、2つの腫瘍を区別する診断能(AUC)は、mFA(0.884)がFA(0.722)より有意に高値であった(P=0.0018)。以上の結果から、DDE-MRIから得られるmFAは、従来のFAに比べより敏感に腫瘍組織の微小構造の違いを反映することと同時に、mFAが腫瘍細胞の形態を反映する可能性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床用MRI装置に、double diffusion encoding(DDE)のパルスシーケンスを導入し、解析のためのソフトウエアを開発することができた。さらに、臨床患者を用いて、脳腫瘍の解析を行うことができ、DDE-MRIとmFAの有用性に関する一定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
脳腫瘍患者の画像データをさらに収集して、様々な脳腫瘍におけるmFAの測定と比較を行っていく。その結果を病理像における脳腫瘍細胞形態との比較を行い、mFAが腫瘍細胞の形態をどの程度忠実に反映するのかを明らかにしていく。さらに、脳腫瘍の鑑別診断や予後の推定におけるmFAの有用性についても検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行のため、学会参加を見送ることになり、その参加費が支出されなかった。次年度での消耗品として利用する予定である。
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