2023 Fiscal Year Annual Research Report
拡散時間を用いた組織微細構造イメージング:筋萎縮性側索硬化症での検討
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21K07629
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
神谷 昂平 東邦大学, 医学部, 講師 (30749825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花城 里依 東邦大学, 医学部, 助教 (10866693)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Diffusion MRI / 筋萎縮性側索硬化症 / Diffusion time / DKI / DTI / Neurodegeneration / Microstructure / Image analysis |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、拡散MRIの手法のうち特に拡散時間依存性の解析の筋萎縮性側索硬化症(ALS)での有用性を第一の課題としていた。結果的に、複数の拡散時間で撮影する(=撮影時間が伸びる)ことによって従来法に追加されるメリットは、取得したデータからは見出すことができなかった。 最終年度には、拡散時間以外の部分データに対して、拡散尖度イメージング(diffusional kurtosis imaging)や皮質厚、T1/T2(ミエリンマップ)、脳ネットワーク(拡散MRIによる構造的連関とfunctional MRIによる機能的連関)の解析を行い、ALS群vs健常対照群の差異や病型、重症度との相関を検討した。結果、ALS群で運動野を中心に皮質および皮質直下白質のkurtosisの低下を認め、特に球症状発症のALS(bulbar onset)において肢症状発症のALS(limb onset)よりも有意に強い変化を認めた。なおeffect sizeは皮質厚よりもdiffusional kurtosisでより大きく、T1/T2においては差は有意水準以下だった。一般に球症状発症はより進行が早く予後不良で、剖検の既報告でもより強い病理学的変化を運動野の皮質及び皮質下に認めるとされる。今回の結果はALS脳の病理学的変化に対する拡散MRIの良好な感度を示し、更に臨床病型あるいは進行速度との相関を示唆している。以上の内容について日本神経放射線学会での報告と論文投稿を行い、論文は既に公開されている(doi: 10.2463/mrms.mp.2023-0138)。 また上記解析過程の副産物として、MRIデータ前処理の違いによってkurtosisの数値に大きな差異を生じることが分かった。これに関して国際磁気共鳴医学会(ISMRM2023、トロント)で報告した。
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