2021 Fiscal Year Research-status Report
網羅的脳MRI解析を用いた巨脳症性疾患の予後予測のための画像バイオマーカーの探索
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21K07694
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
塩浜 直 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10737034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高梨 潤一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00302555)
横田 元 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (20649280)
松本 浩史 千葉大学, 医学部附属病院, 主任診療放射線技師 (60745230)
舞草 伯秀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任助教 (80631069)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳MRI / 定量解析 / 巨脳症 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
巨脳症性疾患の原因は、細胞増殖シグナルの亢進と先天代謝異常に大分される。細胞増殖シグナル(PI3K/AKT経路やヘッジホッグ経路)の亢進による先天異常症候群では、発達遅滞や、てんかん、脳幹圧迫による突然死、脳腫瘍の合併を認める。しかし、遺伝子変異型や既存のバイオマーカーから、合併症を予見する方法は未だ確立していない。 本研究では、脳MRIの網羅的形態解析により、装置間バイアスを補正可能な、汎用性の高い小児脳形態の性別・年齢毎の基準値を創出し、巨脳症性疾患の予後に関連する画像バイオマーカーの探索を目指している。 今年度は、正常対照群の集積を行った。効率的に進めるために、日米の多施設共同研究(千葉大学医学部病院、千葉大学教育学部、東京女子医科大学八千代医療センター、名古屋大学、ボストン小児病院)との共同研究を行い、701例の脳MRIを集積した。集積した3D-T1強調画像(GE社:3D-SPGR、Philips社:3D-IR-TFE、SIEMENS社:3D-MPRAGE)をDICOM形式からNIFI形式に変換するともに、匿名化を行った。NIFI形式の画像ファイルは、カナダマギル大学の開発したCIVETのプログラムを用いてVoxel-based morphometry由来の36項目を測定した。撮像機種間のバイアスについて、測定値を経験的ベイズ法に基づいたマルチアレイ数値変換(Combat法)で統合することにより克服した。本年度の解析で得られた測定値を用いて、次年度は日本人小児の脳構造の年齢別基準値と、撮像機種間の補正法を確立した結果を論文及び学会で報告予定である。また巨脳症性疾患の患者由来のMRIも同様に解析を行い、画像検査による予後予測につながるバイオマーカーを探索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、巨脳症性疾患の小児例、正常発達の正常対照小児例の脳MRI画像、年齢、性別、撮像理由、基礎疾患の有無などの臨床情報を前方視・後方視的に集積した。正常対照小児例は、頭痛や発熱の精査で撮影された例を対象とし、発達遅滞やてんかんの合併例は除外した。 日米5施設の多施設共同研究により、6歳以上16歳未満の正常発達児の3D-T1強調画像702画像を集積した。CIVETのプログラムを用いてVoxel-based morphometryによる脳定量解析で解析した。解析に成功した701画像について、各画像の36領域の脳体積を算出した。MRI撮像機種間のバイアスの発生に対して、各領域の測定値を年齢と性別を共変量として経験的ベイズ法に基づいたHarmonization(ComBat法)で統合を行った。Harmonization後の測定値をもとにして年齢・性別毎の平均値と標準偏差を創出した。性別毎の年齢は、男性 (N=295) 11.0±2.9歳、女性 (N=406) 11.8±3.0歳だった。代表的な脳容量は、全脳、男性1884±157 cm3、女性1740±136 cm3;皮質灰白質、男性782±70 cm3、女性705±79 cm3;白質;男性421±54 cm3、女性379±46 cm3;皮質下灰白質、男性38±3 cm3、女性36±3 cm3;髄液腔、男性406±82 cm3、女性401±81 cm3;小脳・脳幹 男性184±15 cm3、女性170±14 cm3であった。さらに、疾患の予後予測のためのバイオマーカーを確立する上で、疾患の有無や年齢・性別と同様に、周産期因子や母体因子などの環境因子が、脳形態に影響するかを把握することも必要である。そのため、出生コホート研究との共同研究により正常脳MRIを前方視的に集積している。このように研究は順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、前年度に行った正常発達の正常対照小児例の脳MRI画像の解析及びHarmonizationの結果を元に、各領域毎の脳容量を分布図を作成し、“小児脳形態の基準値データベース“について報告を行う。 さらに、巨脳症-毛細血管奇形症候群、Gorlin症候群、Sotos症候群などの巨脳症疾患の脳MRIを集積し、CIVETのパイプラインで脳の各領域の容量を求める。各脳領域容積を、Combat法を用いて前年度に作成したMRI機種の補正係数で変換する。変換後の脳の各領域毎の容量をもとに、巨脳症疾患群における各疾患毎の脳形態の特徴を明らかにする。統計解析については、まずWelch’s t検定による2群間多重比較を行い、大まかな傾向を確認し、年齢・性別・主要な合併症(知的障害、水頭症、脳幹圧迫症状、発癌)の有無を共変量として、一般線形モデルによる多変量解析を行う。 また、周産期歴などの環境因子の脳形態への影響を加味した小児脳形態の基準値データベースも作成するために、出生コホート研究との共同研究を通した正常脳MRIの前方視的な集積も継続する。 令和5年度は、これらの取りくみを通して、巨脳症性疾患の予後予測のバイオマーカーの探索を行う。また、巨脳症疾患では甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンなど、内分泌的な異常を伴うこともあるため、巨脳症を伴わない小児内分泌疾患についても、同様の手順で解析を行う。既に臨床的目的で撮像したMRI画像は集積されているため、新たな追加撮影をせずに解析が可能である。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国内学会がWebによる開催になったため、予定していた宿泊費用の分が今年度に差額として生じた。次年度に論文の英文校正などに使用する予定である。
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Research Products
(6 results)