2023 Fiscal Year Research-status Report
川崎病冠動脈瘤に対する脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)を用いた細胞療法の開発
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21K07809
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
植田 高弘 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20322505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 隆治 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00328783)
深澤 隆治 日本医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80277566) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 川崎病 / 脂肪由来間葉系幹細胞 / 細胞療法 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織には多くの間葉系幹細胞を含み、増殖も速く抗炎症・組織修復作用も高い。一方炎症疾患である川崎病は時に冠動脈炎・瘤を伴う全身性の血管炎を主体とする疾患である。発生した冠動脈瘤に直接作用する治療法はない。本研究は重症川崎病モデルマウスを用いて、重症難治性川崎病に対するヒト脂肪由来間葉系幹細胞を用いた細胞療法という新規治療開発を目指した研究である。 【結果】 HE 染色検体を、ハイブリッド細胞カウントシステムを用いて行った解析では、炎症面積はPBS 群よりもhADSCs 群の方が小さく、またhADSCs 群では心血管恒常性に関与するタンパク質であるGal 1の高発現が認められ、炎症の抑制に寄与することが示唆された。15 日目と29 日目の血清サイトカイン測定では、IL1α は15 日目にPBS 群と比較してhADSCs 群で有意に低下していた(P<0.05 )。IL 6 はPBS群で15 日目と29 日目の間に増加し、29 日目にはhADSCs 群とPBS 群の間でIL 6 に有意差がみられた(P<0.01 )。生存期間の検討では、hADSCshADSCs群は有意に生存期間が長いことが示された(P<0.05)。 今回の我々の研究の結果から、川崎病モデルマウスにおけるhADSCs の投与は早期の炎症の鎮静化の達成に寄与することが病理学的にまた血清学的にも示された。今回の結果は Human adipose tissue-derived stem cells inhibit coronary artery vasculitis in a mouse model of Kawasaki disease. Fukunaga R, Ueda T,et.al. J Nippon Med Sch. 2024 Jan 16. doi: 10.1272/jnms.JNMS.2024 に採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文発表できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在すでに収集されている検体を用いてADSCの投与時期による冠動脈瘤のremodelingを病理学的に検討する。CAWS投与後直後と冠動脈炎・瘤が形成された後にADSCを投与しその後の冠動脈周囲の炎症面積・浸潤細胞・血管内皮細胞障害・拡大する冠動脈径の比較をおこないADSCの影響を明らかにする。一度形成された動脈炎・瘤の退縮効果を検討する。さらに、ADSC投与群と非投与群において、遺伝子発現に違いがあるかを検討する。コントロール群とADSCを投与した群とで、血管炎をきたしている大動脈起始部組織を採取し、発現遺伝子のプロファイリングの比較を行い関連分子の同定をする。遺伝子発現の差異を認めた遺伝子群についてはLifetechnologies 社のQuantStudioTM 3DデジタルPCRシステムを用いて定量解析を行い、本研究に期待されているヒト脂肪由来間葉系幹細胞を用いた新たな治療方法の開発に挑戦する
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Causes of Carryover |
研究予定項目の中で研究結果がまだ不十分な項目がありさらなる研究を進めるため。
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