2022 Fiscal Year Research-status Report
巣状糸球体硬化症病変形成における内皮細胞障害・ポドサイト障害での内因性炎症の関与
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21K08220
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山縣 邦弘 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90312850)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 透析導入コホート / Calciprotein particles / FGF23 / Nephron index / 腎硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新規透析導入となった末期慢性腎不全患者について患者登録患者636名中保存検体の確保できた307名について血中CPP濃度、FGF-23濃度、CRP, リン、カルシウム値等を測定し原疾患、合併症、予後との関係の詳細を検討し、さらに詳細な予後との関係を検討したところ、CPP値単独に比べ、CPP/pi値において、有意な関係を見いだした。すなわち、CPP/Piを四分位で4群に分けKaplan-Meier解析をしたところ、CPP/Piが高いほどMACEのリスクが高いことが示された(p = 0.03, log-rank検定)。Cox多変量解析で、年齢、性別、eGFR、補正カルシウム、FGF23、LDLコレステロールで調整したモデルにおいて、CPP/PiはMACEと有意に関連していた(ハザード比1.032、p = 0.04)。透析導入時の保存血清での検討では、MACEとCPPとの関連は明瞭ではなかったが、血清リン値との比を用いることで、有意な関連を見いだした。さらに、1次性CPPから2次性CPPへの転換に要する時間指標であるT50の測定を追加し、異常CPPの形成スピードを検討し、透析導入後のCVD発症との関連を検討する。この結果をあわせて全体をとりまとめ、本年度中の論文作成を行い、投稿する予定である。 動物実験についてはANSマウスを用いての検討を予定していたが、本動物モデルではリン負荷食による長期観察での生存期間が不足する可能性が高く、巣状硬化症様病変の出現する適切な腎不全モデルを用いての無機リン負荷を行う事によるCPPの形成、炎症発現の主因についての検討を行っていく。血中、尿中のCPPの形成の状況やポドサイトにおけるmtDNA変化、DAMPsやmtDNAによるNLRP3インフラマソームの活性化、その後のCaspase1活性化機構からIL1β、IL18放出による炎症の成立などの検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
茨城透析導入コホート血液、尿検体が揃った307例について血中CPP濃度(ゲル濾過法)、FGF-23濃度(ELISA)、血清、尿中リン濃度、クレアチニン濃度を測定し、臨床例におけるCPPの位置づけについては、論文作成が順調に行われており、研究期間内での投稿が可能な段階にある。 動物実験については、長期観察に耐えうる腎不全動物モデルの選定で時間を要しているものの、巣状糸球体様病変形成に至り、無機リン負荷食での検討が可能なマウス選定の最終段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究については、論文発表を確実なものとするため、1次性CPPから2次性CPPへの転換に要する時間T50をさらに測定して、予後との関連を検討する。 動物実験については、他の腎不全マルスモデルにて、リン負荷食の検討を行う。このための予備実験を行っている。
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Causes of Carryover |
本年度の検査項目について、消耗品の大半を既存の物品によりまかなえたため出費を抑制することができた。来年度は、動物飼育ならび特殊飼料に加え、各種測定キット等の消耗品の購入が増加することが予想される。
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Research Products
(8 results)