2023 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓障害をきたすNAD合成系異常における エピジェネティクスの役割解明
Project/Area Number |
21K08261
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
アリフ・ウル ハサン 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00570368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸茂 丈史 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (70265817)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NAD合成 / エピジェネティクス / 急性腎障害 / 糖尿病性腎症 / 低酸素症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、NAD合成低下にどのようにエピジェネティクス機構に関わる機能を目的としている。 急性腎障害におけるNAD合成に対するエピジェネティクスの役割を調査するために実施した。ヒト腎上皮細胞を使用して、低酸素症がヒストン脱アセチル化酵素に関連する遺伝子を変化させることを見つかり出した。そのため、汎HDAC阻害剤を使用したところ、この介入によりNAD合成のde novo経路に関連するいくつかの遺伝子の発現が増強されることを発見した。一貫して、HDAC遺伝子のサイレンシングでも同様の効果が得られ、de novo経路を介したNAD合成に対するHDAC阻害の有益な役割が確認した(原稿準備中)。心不全は腎性低酸素症の主な原因の1つであるため、同じエピジェネティック介入が心筋細胞に与える影響を同時に評価した。興味深いことに、HDAC9とエピジェネティック系のBETタンパク質阻害剤(Brd2とBrd4)が相互作用して脂肪酸輸送を変化させることが新たに判明した(Hasan et al. BBRC、693 (2024) 149370)。
一方、糖尿病性腎症は慢性腎臓病(CKD)の主な原因である。糖尿病による腎障害に対してNAD合成がどのように変化するかを調べるため、ヒト尿細管上皮細胞を用いてグルコースによるNAD合成を測定した。その結果、NAD合成にはサルベージ経路に加えて、Preiss-Handler経路も腎細胞で活性であることを解明した。遺伝子操作と化学阻害剤を使用して、ヒストンのメチル化の増減がこれらのNAD合成経路に関与することが示唆された。この所見をさらに発展させるために、マウスにグルコース飲料を摂取させた結果、予想通り体重が有意に増加し、代謝異常も現れた。これらのサンプルにおける腎機能、NAD合成酵素の変化、および遺伝子発現の調節不全の程度を調査するために追加の実験を進めている。
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Research Products
(4 results)