2021 Fiscal Year Research-status Report
Significance of rare nucleotide sugar in of cell proliferation of cystic kidney disease
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21K08266
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中嶋 和紀 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 准教授 (10442998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 静子 藤田医科大学, 疾患モデル教育研究サポートセンター, 教授 (20183527)
高橋 和男 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90631391)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 嚢胞性腎疾患群 / 糖ヌクレオチド / 糖鎖修飾 / グライコミクス / グライコプロテオミクス / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マンノースなどを含む単糖機能性食品に着目して、嚢胞性腎疾患群に対する予防療法や既存薬剤トルバプタンとの併用療法を提案することが目的である。我々は特にマンノースから代謝・生合成されるUDP-マンノースやGDP-2-デオキシマンノースという希少糖ヌクレオチドが存在し、何らかの機能を担っていると考えており、嚢胞腎におけるその病態への関与を検証する。また尿中の糖鎖バイオマーカーを探索し、早期治療介入に貢献するバイオマーカーを見出すことも目的である。 初年度は、過去に最適化した糖ヌクレオチドの一斉定量法を土台にして、希少糖ヌクレオチド測定法へのアップデートを行った。既報ではイオンペア逆相モードを使用したが、今回は親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)により、汎用型のアミドカラムと新型のテトラゾール修飾カラムを組み合わせた測定法を構築した。さらにマンノースや希少糖から生合成されうる類縁分子を類推した測定する条件を設定し、希少糖ヌクレオチドの探索技術を構築した。次にモデル実験として、D-グルコースのエピマーを添加した培養条件下の細胞株から、UDP-マンノースを良好に分離して観察した。今年度は本法に関して、1件の学会報告を行った。 またGDP-マンノースに依存しない、希少糖ヌクレオチドを介する糖鎖修飾反応を探索した。マンノシル化には主に、GDP-マンノースからドリコールリン酸合成酵素(DPM)により生合成されるドリコールリン酸マンノースが用いるため、その経路を遮断したCHO変異株(Lec15)において糖鎖変化を観察した。現在、その結果がUDPマンノースに依存するかどうかを検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は希少糖ヌクレオチドを介する嚢胞性腎疾患の病態機序解明を目指して、1)希少糖ヌクレオチド解析技術のアップデート、2)希少糖ヌクレオチドによる糖鎖修飾の探索、3)希少糖ヌクレオチドの役割解明、4)単糖とトルバプタンによる併用療法、5)バイオマーカーへの応用を計画している。 初年度は、藤田医科大学 共同利用研究設備サポートセンターの分析環境が整っていたため、主に計画1の条件検討を進めてきた。分析条件の最適化について見通しが得られ、希少糖ヌクレオチドの高感度検出が可能になった。この技術よって本研究を推進する解析技術が最低限整った。また本技術を用いて他の希少糖ヌクレオチドを探ったところ、特殊な条件下においてUDP-マンノースだけでなく、他の未知分子も検出されつつある。 計画2では、UDP-マンノースを介する糖鎖修飾反応が存在するのか?を検証するため、GDP-マンノースを介する経路を遮断した細胞株を用いて糖鎖変化を解析した。その結果、初年度の検討にて、マンノシル化糖鎖に変化がありそうな手掛かりが得ることができた。 一方、計画3と4で示したマンノースの機能性評価試験は、研究代表者が所属する組織方針の都合上、初年度は実施できなかった。次年度以降に進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は2022年1月から糖鎖を専門に研究している岐阜大学 糖鎖生命コア研究所に異動して、独立した研究室を主催している。当研究室では、質量分析計などの研究整備や人員体制を今後充実させていくことから、糖ヌクレオチド代謝やグライコミクス、グライコプロテオミクスの研究を発展させやすい体制となる。 よって次年度は、計画2における希少糖ヌクレオチドを介する糖鎖修飾の変化を、高速液体クロマトグラフー質量分析計を用いて解析を進めていく。また、ごく最近糖ヌクレオチドのワンポット合成が可能になり安定同位体標識13C-マンノースを融合したUDP-13C-マンノースを合成している。それらを活用してIn vitroの実験を進めることによって、UDP-マンノースが糖鎖修飾に使われているのかを明らかにしていく。 計画3と4は、藤田医科大学からモデル動物を入手でき次第、機能性評価試験を進めていく。計画1で検出された希少糖由来の希少ヌクレオチドについても大変興味深く、これらも構造同定して、同様のスキームで研究を展開していく。 現在、研究代表者は本務として汎用型グライコプロテオミクスの解析基盤を構築している。その技術は、嚢胞性腎疾患群の尿中バイオマーカー探索に活用できると考えている。我々は既に各病期を反映する各週齢のCyラットの尿サンプルを所有しており、その検体を用いてCA9-19より高精度な尿中糖タンパク質バイオマーカーを探索していく。本アプローチにより非侵襲で早期治療介入に貢献するバイオマーカーが見出されることを期待している。
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Causes of Carryover |
研究代表者は2021年12月まで、所属する機関の組織の都合上、糖鎖に関する研究をほとんど進めることができなかった。そういった理由もあって、2022年1月から糖鎖を専門に研究している岐阜大学 糖鎖生命コア研究所に異動して、新たに研究室を立ち上げている。以上のような理由から、研究の遂行に後れが生じ、次年度に研究費を使用することになった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Hepatocellular carcinoma induces body mass loss in parallel with osmolyte and water retention in rats2022
Author(s)
Kidoguchi S, Kitada K, Nakajima K, Nakano D, Ohsaki H, Kittikulsuth W, Kobara H, Masaki T, Yokoo T, Takahashi K, Titze J, Nishiyama A
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Journal Title
Life Sci
Volume: 289
Pages: 120192
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Basigin deficiency prevents anaplerosis and ameliorates insulin resistance and hepatosteatosis2021
Author(s)
Ryuge A, Kosugi T, Maeda K, Banno R, Gou Y, Zaitsu K, Ito T, Sato Y, Hirayama A, Tsubota S, Honda T, Nakajima K, Ozaki T, Kondoh K, Takahashi K, Kato N, Ishimoto T, Soga T, Nakagawa T, Koike T, Arima H, Yuzawa Y, Minokoshi Y, Maruyama S, Kadomatsu K.
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Journal Title
JCI Insight
Volume: 6
Pages: e142464
DOI
Peer Reviewed
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