2023 Fiscal Year Annual Research Report
表皮IκBζを軸とした皮膚細菌叢異常による自己免疫疾患発症機構の解析
Project/Area Number |
21K08319
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水芦 政人 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20400369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 研志 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (40294798)
照井 仁 東北大学, 大学病院, 助教 (70965045)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | IκBζ / SLE / 自己免疫疾患 / 皮膚細菌叢 / 黄色ブドウ球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫疾患の発症には遺伝的要因と環境要因が関与していることが分かっている。自己免疫疾患の一つです全身性エリテマトーデス(SLE)はゲノムワイド関連解析が行われてきたがはっきりとして疾患感受性遺伝子が同定されなかったことから環境要因の関与が示唆されている。環境要因のひとつに細菌叢が挙げられる。これまで自己免疫疾患の発症に対する腸内細菌叢の役割についてはよく解析されてきたが、皮膚細菌叢と自己免疫疾患との因果関係について深くは検討されていなかった。本研究を通して表皮の形質変化により皮膚細菌叢のバランスが崩れることによりSLE様の自己免疫炎症が促進することが示された(Terui H, et al. Sci Immunol, 2022)。具体的には、表皮角化細胞におけるIkB zetaの欠損により黄色ブドウ球菌の表皮へのコロナイゼーションが増加し、このために抗菌ペプチドなどが過剰産生されることで抗dsDNA抗体や抗Sm抗体といったSLEに特徴的な自己抗体の産生を促し、またSLE様の腎炎症状が出現することがマウスを用いて示された。この機序として、黄色ブドウ球菌のコロナイゼーションが結果的にIL-17Aと好中球のNETの活性化を引き起こすことも示され、このことはNETを分解するDNaseIの処理によってこのマウスの表現型が軽快することによっても機能的に証明された(Terui H, et al. Sci Immunol, 2022)。本研究は、皮膚細菌叢が自己免疫疾患の発症に関与していることを世界に先駆けてマウスモデルを用いて示した。
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