2022 Fiscal Year Research-status Report
HLA-DR15欠失血球陽性再生不良性貧血における免疫病態の解明
Project/Area Number |
21K08367
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
細川 晃平 金沢大学, 附属病院, 助教 (10786239)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 再生不良性貧血 / HLA-DR / HLA-DRB1*15:01 / 造血幹前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫抑制療法が奏効する再生不良性貧血(aplastic anemia : AA)、低リスク骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄不全型発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では、HLADR15の保有率が高いことが以前から知られており、なかでもHLA-DRB1*15:01は、シクロスポリン依存性AA患者で特に頻度が高く、このDRB1アレルは自己免疫性造血不全の発症メカニズムに強く関与していると考えられるが、それがどのようにして造血不全の発症に関与しているのかは不明であった。寛解状態にあるAA患者の末梢血HSPCにおけるHLAクラスIIの発現を調べたところ、61例中7例(11.6%)に、これまでには報告のないHLA-DR欠失細胞が検出された。これら7例はDRB1*15:01かDRB1*15:02のいずれかを有しており、全例PNH型血球が陽性であったが、HLAクラスIアレル欠失血球はいずれも陰性であった。また、7例中5例は、造血能がCsA依存性であった。興味深いことに、PNH形質[GPI(-)]と非PNH系形質[GPI(+)]のHSPCを同時に解析することが可能であった例では、HLA-DR欠失はGPI(+)のHSPCにのみ認められた。さらに、IFN-γ存在下の培養により、DR欠失HSPC陽性例のDR発現は完全に回復した。以上から、AAのT細胞標的であるHSPCにおいても、急性白血病再発と同様に、エピジェネティックな機序によるHLA-DR欠失が起こっていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HLA-DRの発現低下が認められたHLA-DR15陽性シクロスポリンCsA依存性AA患者のCD4陽性T細胞においては、HLA-DR15拘束性の自己抗原特異的T細胞クローンを高頻度に含むことが予想される。現在そのような患者からCD4陽性T細胞を単離して、次世代シークエンスによるレパトア解析を行うことにより、高頻度に検出されるT細胞レセプター(TCR)を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
HLA-DR15によって提示されるAAの自己抗原を同定するため、まず、HLA-DRB1*15:01陽性CsA依存性AA患者の末梢血CD4陽性T細胞のうち、高頻度に検出されるT細胞レセプター(TCR)を同定する。次に、このTCRのcDNAトランスフェクタントを用いて機能解析を行う。野生型iPSC-HSPC上のDR15結合ペプチドをスクリーニングすることにより、TCRのリガンドを決定する。
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Causes of Carryover |
対象となる症例数から逆算して所要額を算出したが、症例数が当初の予定より少なかった。次年度は、解析症例数をさらに増やす予定であり、そのための実験費用に当てる予定である。学会発表も多くはオンラインで行われ、旅費による支出も少なかった。次年度得られた結果については、現地開催の学会発表を行う予定であり、そのための費用にも当てる予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Hematopoietic stem progenitor cells with malignancy‐related gene mutations in patients with acquired aplastic anemia are characterized by the increased expression of CXCR42022
Author(s)
Katagiri Takamasa,Espinoza Luis,Uemori Mizuho,Ikeda Honoka,Hosokawa Kohei,Ishiyama Ken,Yoroidaka Takeshi,Imi Tatsuya,Takamatsu Hiroyuki,Ozawa Tatsuhiko,Kishi Hiroyuki,Yamamoto Yasuhiko,Elbadry Mahmoud,Yoshida Yoshinori,Chonabayashi Kazuhisa,Takenaka Katsuto,Akashi Koichi,Nannya Yasuhito,Ogawa Seishi,Nakao Shinji
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Journal Title
eJHaem
Volume: 3
Pages: 669~680
DOI
Peer Reviewed
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