2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of function of STAP-1 for mast cell activation and pathogenesis of bronchial asthma
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21K08451
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柏倉 淳一 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (90373290)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | STAP-1 / マスト細胞 / IgE / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
Signal-transducing adaptor protein-1(以下、STAP-1)は免疫細胞に高発現しているSTAPファミリーアダプタータンパク質である。我々は、先行研究でSTAP-1がiNKT細胞依存性肝炎や慢性骨髄性白血病の病態に関わることを報告した。しかし、マスト細胞IgE依存性活性化反応やアレルギーに対するSTAP-1の機能は未だ不明である。本年度は、STAP-1のマスト細胞分化やIgE依存性活性化反応に対する機能的役割の解明を目的として研究を行った。 野生型およびSTAP-1欠損マウス骨髄細胞を採取し、IL-3含有培地で4-6週間培養し、骨髄由来培養マスト細胞(以下、BMMC)を樹立した。1週経過毎にマスト細胞の純度および細胞数を測定したところ、野生型とSTAP-1欠損マウス由来BMMCの間に有意な差異は観察されなかった。また、STAP-1欠損マウス由来BMMCの4週経過後のマスト細胞純度は野生型同様95%以上になったことからも、STAP-1はIL-3依存性マスト細胞分化に影響を与えないことが明らかになった。分化に対する影響が見られなかった理由として、マスト細胞ではSTAP-1が発現していない可能性も考えられたので、ウエスタンブロット法で野生型およびSTAP-1欠損BMMC中のSTAP-1発現を調べたところ、野生型BMMCでのみSTAP-1タンパク質の発現を検出したことから、最終的にSTAP-1はIL-3依存性マスト細胞分化反応に関与しないことが証明された。 次に、STAP-1がIgE依存性マスト細胞脱顆粒反応およびサイトカイン産生に与える影響を検証した。その結果、脱顆粒反応は同程度であったものの、STAP-1欠損BMMCでは野生型BMMCと比較し、IgE依存性サイトカイン産生量が増加しており、STAP-1はサイトカイン産生を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに研究室でSTAP-1欠損マウスは樹立されC57BL/6へのバッククロスも終了しているため、材料をすぐに研究に使用でき、また、STAP-1の欠損がマスト細胞分化に対して影響を与える可能性もあったが、実際の研究成果として、STAP-1欠損はマスト細胞分化に影響を与えることなく、その後の機能解析検証実験がスムーズに進んだことも順調に本研究課題が進んでいる理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果から、STAP-1がIgEマスト細胞活性化反応のうち、サイトカイン産生のみ抑制作用を示すことが明らかになった。今後は野生型とSTAP-1欠損マウスのIgEシグナル伝達の違いや詳細な作用機構の解明を行い、なぜSTAP-1が脱顆粒には影響せず、サイトカイン産生のみ抑制作用を示すかを明らかにする予定である。またin vitroの結果がin vivoに反映されるかについて、即時型皮膚アナフィラキシーモデル、遅発型皮膚アレルギー反応、マスト細胞依存性気管支喘息モデルなどを用いて検討する予定である。
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