2023 Fiscal Year Annual Research Report
IgG4関連疾患におけるRNA-Seqを用いた遺伝子発現解析と新規治療標的の開発
Project/Area Number |
21K08471
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坪井 洋人 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80580505)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / 顎下腺 / 末梢血単核球 / RNA-Seq / T細胞 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
無治療のIgG4関連疾患(IgG4-RD)確診例(N=4)から、組織学的基準を満たす顎下腺(N=3)と末梢血単核球(PBMC)(N=4)を採取した。また一次性シェーグレン症候群(SS)(N=3)と健常人(HC)(N=3)からもPBMCを採取した。顎下腺およびPBMCからMACSでCD3+T細胞、CD19+B細胞を分離した。IgG4-RD、一次性SS、HCの末梢血間、およびIgG4-RDの顎下腺と末梢血の間で、T/B細胞の遺伝子発現をRNA-Seqで比較した。1)主成分分析によるクラスタリングでは、末梢血のT/B細胞の遺伝子発現パターンは3群間で類似していた。一方でIgG4-RDの顎下腺と末梢血間でT/B細胞の遺伝子発現パターンは異なっていた。末梢血と比較し、顎下腺T細胞で発現増加した発現変動遺伝子(DEG)は214個、減少したDEGは50個、顎下腺B細胞で発現増加したDEGは630個、減少したDEGは109個であった。顎下腺で発現増加したDEGの中で、IL-10、IL-21、EGR2を含む複数のサイトカイン、ケモカイン、転写因子が抽出された。2)Ingenuity Pathway Analysis(IPA)を用いたパスウェイ解析では、IgG4-RDの顎下腺T細胞ではTh1、Th2、IL-17、wound healing、TLR、全身性エリテマトーデス(SLE)シグナルの亢進が認められた。顎下腺B細胞ではIL-8、IL-15、補体、線維化、SLEシグナルの亢進が認められた。3)定量PCRによるvalidationにおいて、IgG4-RDの顎下腺T細胞では末梢血と比較して、IL-21、EGR2のmRNA発現は有意に増加していた。以上から、RNA-SeqによりIgG4-RDの唾液腺病変局所のT/B細胞で発現変動した遺伝子が抽出され、病態への寄与が示唆されるパスウェイが同定された。
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