2023 Fiscal Year Research-status Report
緑膿菌線毛蛋白DNAと樹状細胞リガンドDNAワクチンによる緑膿菌肺炎制御の可能性
Project/Area Number |
21K08508
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
平松 和史 大分大学, 医学部, 教授 (80301381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 幸作 大分大学, 医学部, 准教授 (50727550)
橋本 武博 大分大学, 医学部, 助教 (70895862)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 緑膿菌 / 線毛 / DNAワクチン / アジュバント |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度作成した緑膿菌PAO1株の線毛遺伝子であるpilA遺伝子をDNAワクチン用ベクターpVAX1に挿入したプラスミドpilA-pVAX1をcompetent cellである大腸菌に導入し、培養を行った。大量に培養増菌した大腸菌からプラスミド抽出用キットを用いて、pilA-pVAX1を精製した。設計通りにpilA遺伝子がpVAX1プラスミドに挿入されているかどうかを検証するために、pilA挿入部位付近の塩基配列を決定した。その結果、pilA遺伝子が設計通りにpVAX1に挿入されていることを確認した。続いてpilA-pVAX1が正常に発現するかをin vitroにおいて確認するために、ヒト胎児由来腎細胞293T細胞に同プラスミドを導入する実験を行った。pilA-pVAX1とlipofectamineを混和後室温で20分間インキュベートし、複合体を作成した。24穴プレートに培養した293T細胞に作成した複合体を添加し、細胞をCO2インキュベーター内で24~48時間培養した。培養した細胞を固定後、マウスの抗緑膿菌線毛蛋白抗体を一次抗体、FITC標識抗マウスIgG抗体を二次抗体として反応させ、蛍光顕微鏡で観察し、細胞内におけるpilA遺伝子の発現について検討を行った。蛍光顕微鏡による観察では、発色している細胞を認めず、pilA遺伝子の発現を確認することができなかった。そのため遺伝子の細胞導入ができていないものと考え、pilA-pVAX1とlipofectamineの割合を変更し複合体を作成した。また293T細胞数とpilA-pVAX1+lipofectamine複合体量の比を変更した系でも細胞導入実験を行った。それらの系においても発色する細胞を見い出すことができなかった。現在はlipofectamineではない別の細胞導入用試薬を用いて遺伝子導入を行う実験の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度作成したpilA-pVAX1が設計通りに構築されているか、プラスミドの塩基配列決定を行ったが、この作業は順調に実施可能であった。その後のin vitroにおけるpilA-pVAX1の細胞内への導入実験においてpilAの発現を確認することができなかった。複合体合成時のpilA-pVAX1とlipofectamineの比や細胞内導入時のpilA-pVAX1+lipofectamine複合体量と細胞数の比率などの各種条件変更を行い、プラスミド移入実験を繰り返し行った。作成したpilA-pVAX1がin vitroにおいて正常に発現するかどうかの確認は、in vivoでの実験を進める前に必要であり、多くの時間を要した。また新型コロナウイルス感染症への対応に多くの時間を要する時期があり、予定していた本研究のエフォートを十分に確保できず、実験が十分に実施できない時期があった。
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Strategy for Future Research Activity |
複合体合成時のpilA-pVAX1とlipofectamineの混合割合や細胞内導入時の293T細胞数とpVAX1+lipofectamine複合体量の比をさらに変更し、細胞内移入実験を実施する予定である。また別のトランスフェクション用試薬を用いた細胞内導入実験を行うための準備を進めている。in vivoでの実験を進めるためにマウスやpilA-pVAX1、Flt3リガンド-DNAプラスミドの準備を進めている。in vitroでのpilA-pVAX1の発現が確認できれば、pilA-pVAX1をFlt3リガンド-DNAプラスミドをマウス気道へ投与し、マウス肺洗浄液中の抗緑膿菌線毛蛋白IgGやIgA抗体の測定などの実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
in vitroにおけるpilA-pVAX1の細胞内導入実験が順調に進んでいないため、in vivoにおけるマウスへのpillA-pVAX1+Flt3リガンド-DNAプラスミドの投与実験が行えていない。そのためにin vivoでの実験で購入する予定であったマウスやサイトカイン測定試薬、フローサイトメトリー用の試薬などを購入しておらず、次年度使用額が生じた。今年度実施できなかった実験を次年度行う予定としており、繰越額も含めて使用していくこととしている。
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