• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Research-status Report

微小代謝環境に着目した慢性炎症の分子機構解明

Research Project

Project/Area Number 21K08526
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

田中 都  名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (60622793)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsマクロファージ / 慢性炎症 / 微小環境
Outline of Annual Research Achievements

1)マクロファージ貪食能,融合能の制御機構解明
マクロファージ貪食過程についてより詳細に検討する目的で,死細胞添加後,数時間の評価のみならず,経時的に貪食過程を評価する系の立ち上げを試みた。その結果,数時間後で貪食マクロファージの割合が30-40%のところ,1日後には80%近くなり,2日後,3日後には減少に転じることが分かった。また,使用するマクロファージを無刺激で腹腔内より採取したマクロファージとチオグリコレート刺激をした腹腔内マクロファージでは,貪食スピードなどが全く異なることが分かった。一般的に,後者は炎症性マクロファージとされているため,今後,後者のマクロファージを用い,病態におけるマクロファージ貪食の意義や制御機構を検討する。
2)肥満の脂肪組織におけるCLS形成と炎症波及効果の分子機構解明
マクロファージに発現する免疫シグナル伝達分子Xの欠損マウスは,肥満の脂肪組織炎症が減弱することを見出している。この時,CLSはほぼ消失するが,フローサイトメーターによる解析の結果,間質細胞内には,野生型マウスと同レベルの数のマクロファージが存在することが明らかになった。今後,これらのマクロファージの性質を精査する予定である。また,グルコース負荷試験を実施すると,X欠損マウスは良好な糖代謝を呈することを見出した。今後,肝臓,脂肪組織,骨格筋のインスリンシグナルを検討し,責任臓器を明らかにする。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新たな知見を見出し,当初,予定に入っていなかった実験も進めているが,概ね順調に進んでいる。一方,CLSは,細胞死に陥った脂肪細胞をマクロファージが貪食,処理する過程で出現する構造であるため,高脂肪食摂取X欠損マウスでは脂肪細胞が細胞死に陥っていない可能性か,あるいは,細胞死に陥った脂肪細胞がそのまま放置されている可能性が考えられる。後者の場合は,脂肪組織の炎症が増悪すると想定されるが,実際,X欠損マウスでは脂肪組織の炎症が減弱している。また,X欠損マウスの脂肪組織内のマクロファージの数は野生型マウスと同レベルであったため,死細胞を処理するマクロファージが不足している訳でもないと考えられる。即ち,高脂肪食摂取X欠損マウスでは脂肪細胞が細胞死に陥っていない可能性が高いが,その理由がマクロファージに発現するXでは説明が付かないこととなり,今後,更なる検討が必要になると想定される。1つの可能性として,脂肪細胞においても,Xが重要な役割を担っていることが考えられるが,それを証明するためには,X欠損マウスの骨髄細胞を用いた骨髄移植実験を行い,実質細胞におけるXの役割を検討する必要がある。

Strategy for Future Research Activity

「現在までの進捗状況」に記載した事項を明らかにするためには,予定に入っていなかった骨髄移植実験が必要となる。既に採取済みのサンプルやデータを吟味し,必要に応じて骨髄移植実験を実施する。その場合,骨髄移植後の回復期間と高脂肪食による飼育期間で,およそ半年の期間を必要とするため,実施する場合は,早めに判断する。一方,新たな実験を開始することで,予定していた実験に遅れが出る可能性が高いと判断した場合は,新たな実験は,別途,計画し直すこととする。
マクロファージ貪食に関しては,既存の実験系に拘らず,自分の研究目的に合った実験系を構築し,より病態を反映する評価系を用いてマクロファージ貪食の詳細を明らかにしたい。実際に,現在,新しい評価系を構築中であるが,予想していなかった様々な困難があり,鋭意解決中である。一方,新しいことに挑戦することで見出す知見が多く,次の研究課題に繋げていくと共に,一定の期間で研究をまとめたいと考えている。

Causes of Carryover

RNA-seq解析を予定していたが,実施できなかったため,次年度使用額が生じた。
(使用計画)
令和4年度に新たに得られた知見を検証すべく,RNA-seq解析などを積極的に行っていく予定である。

  • Research Products

    (8 results)

All 2023 2022

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 3 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 5 results)

  • [Journal Article] Tissue transglutaminase exacerbates renal fibrosis via alternative activation of monocyte-derived macrophages2023

    • Author(s)
      Shinoda Yoshiki、Tatsukawa Hideki、Yonaga Atsushi、Wakita Ryosuke、Takeuchi Taishu、Tsuji Tokuji、Tanaka Miyako、Suganami Takayoshi、Hitomi Kiyotaka
    • Journal Title

      Cell Death & Disease

      Volume: 14 Pages: -

    • DOI

      10.1038/s41419-023-05622-5

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Novel Therapeutic Potentials of Taxifolin for Obesity-Induced Hepatic Steatosis, Fibrogenesis, and Tumorigenesis2023

    • Author(s)
      Inoue Takayuki、Fu Bin、Nishio Miwako、Tanaka Miyako、Kato Hisashi、Tanaka Masashi、Itoh Michiko、Yamakage Hajime、Ochi Kozue、Ito Ayaka、Shiraki Yukihiro、Saito Satoshi、Ihara Masafumi、Nishimura Hideo、Kawamoto Atsuhiko、Inoue Shian、Saeki Kumiko、Enomoto Atsushi、Suganami Takayoshi、Satoh-Asahara Noriko
    • Journal Title

      Nutrients

      Volume: 15 Pages: 350~350

    • DOI

      10.3390/nu15020350

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Medium-chain fatty acids suppress lipotoxicity-induced hepatic fibrosis via the immunomodulating receptor GPR842023

    • Author(s)
      Ohue-Kitano Ryuji、Nonaka Hazuki、Nishida Akari、Masujima Yuki、Takahashi Daisuke、Ikeda Takako、Uwamizu Akiharu、Tanaka Miyako、Kohjima Motoyuki、Igarashi Miki、Katoh Hironori、Tanaka Tomohiro、Inoue Asuka、Suganami Takayoshi、Hase Koji、Ogawa Yoshihiro、Aoki Junken、Kimura Ikuo
    • Journal Title

      JCI Insight

      Volume: 8 Pages: -

    • DOI

      10.1172/jci.insight.165469

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Cell death-induced chronic inflammation and metabolic changes in macrophage2022

    • Author(s)
      Miyako Tanaka, Takayoshi Suganami
    • Organizer
      第51回日本免疫学会学術集会
    • Invited
  • [Presentation] 細胞死とマクロファージがもたらす慢性炎症の病態メカニズム2022

    • Author(s)
      田中 都,菅波孝祥
    • Organizer
      第43回日本肥満学会
    • Invited
  • [Presentation] Clearance of dead cells and altered cellular metabolism in macrophages as a novel molecular mechanism of chronic inflammation2022

    • Author(s)
      Miyako Tanaka, Takayoshi Suganami
    • Organizer
      第45回日本分子生物学会年会
    • Invited
  • [Presentation] 細胞死を起点とした炎症慢性化機構とメタボリックシンドロームにおける意義2022

    • Author(s)
      田中 都,菅波孝祥
    • Organizer
      第96回 日本糖尿病学会中部地方会
    • Invited
  • [Presentation] Clearance of dead cells and altered cellular metabolism in macrophages as a novel molecular mechanism of chronic inflammation2022

    • Author(s)
      田中 都,菅波孝祥
    • Organizer
      第26回日本心血管内分泌代謝学会学術総会
    • Invited

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi