2023 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞の脂肪毒性に対する脂質代謝賦活化による治療戦略
Project/Area Number |
21K08531
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
村尾 孝児 香川大学, 医学部, 教授 (20291982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福長 健作 香川大学, 医学部, 助教 (70746932)
井町 仁美 香川大学, 医学部, 准教授 (80380187)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ABCA1 / HDL / インスリン / 糖尿病 / 脂肪毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞の脂肪毒性に対するATP-binding cassette transporter A1 (ABCA1)遺伝子発現の役割について検討してきた。ABCA1の機能低下は膵β細胞に脂質の蓄積をもたらし、結果的にはインスリン分泌に低下につながる。これまでの検討でT N F-α、AngiotensinII, OxLDLなどによりABCA1発現が低下し、膵β細胞にコレステロールが沈着し脂肪毒性が惹起される。このような膵β細胞ではグルコース応答性インスリン分泌が低下し、耐糖能異常の原因となっていると考えられる。そこでABCA1遺伝子発現を促進化合物のスクリーニングをおこなった。女性ホルモンがABCA1発現を促進することより、女性ホルモンの代謝産物を網羅的に検討した。その代謝産物の中で、2-Methoxyestradiol(2-ME)がABCA1発現を促進することを見出した。2-MEはABCA1プロモーター活性を増強したが、この効果はPI3K経路を阻害した後に減少した。Aktまたはp110の過剰発現はABCA1プロモーター活性を誘導し、ドミナントネガティブAktは2-ME2によるABCA1プロモーター活性の阻害作用を示した。さらに、2-MEはAktとFoxO1の急速なリン酸化を刺激し、FoxO1の核内蓄積を減少させた。クロマチン免疫沈降法では、FoxO1がABCA1プロモーター領域に結合していることが確認された。ABCA1プロモーター領域のFoxO1結合部位を変異させるか、FoxO1特異的siRNAで処理すると、ABCA1発現に対する2-ME2の効果が失われた。またOxLDLは逆にABCA1遺伝子の発現を抑制し膵β細胞におけるインスリン分泌を抑制する。今後、脂質沈着とインスリン分泌低下のメカニズムの検討が必要である。
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