2021 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア呼吸調節因子を標的とした乳がんに対する革新的治療法の開発
Project/Area Number |
21K08625
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杉浦 博士 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (20381882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 竜也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30315882)
遠藤 友美 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20566228)
近藤 直人 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (90529166)
上本 康明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (50818747)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 乳癌 / ミトコンドリア呼吸 / HECTD1 |
Outline of Annual Research Achievements |
当施設で長期follow upを行った625例の乳癌症例(NCU群;Nagoya City University)、The Cancer Genome Atlasデータベースの乳がん症例(TCGA群)を対象として、HECT1遺伝子のmRNA発現と臨床病理学的因子および予後との検討を行った。 TCGA群を用いた解析ではHECTD1 mRNAの発現量は、乳癌組織では隣接する正常組織と比較して有意に低かった(P<0.001)。NCU群、TCGA群の解析では、HECTD1 mRNAの発現量は、乳癌のサブタイプ間でも異なっていた。HECTD1 mRNAの発現低下は、大きな腫瘍サイズや高い組織学的グレードなどの攻撃的な腫瘍の特徴と有意に関連していた。また、TCGA群のRNAシークエンスデータを用いたGeneset Enrichment AnalysisではHECTD1 mRNAの発現は、既報で示されていた上皮間葉転換とは関連なく、ミトコンドリア呼吸(酸化的リン酸化(P<0.001、FDR q値<0.001)呼吸鎖複合体(P<0.001、FDR q値<0.001)、活性酸素(P<0.001、FDR q値<0.001))と負の相関関係を有していた。NCU群の解析では、HECTD1 mRNAの低発現は、乳癌患者における無病生存期間(log-rank:P=0.013)および全生存期間(log-rank:P=0.038)の短縮と関連していた。多変量解析でも、HECTD1 mRNA発現が低いことは、乳癌患者の無病生存期間(ハザード比:1.54、95%信頼区間:1.11-2.13、P=0.009)および全生存期間(ハザード比:1.50、95%信頼区間:1.01-2.24、P=0.046) の独立した予後因子であることを同定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乳癌組織を使用した検討は予定通り進んだものの、データの取得と解析に時間を費やしたため、進捗はやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
HECTD1はユビキチンリガーゼであり、そのタンパク発現が機能の調整に重要と考えられる。乳癌組織を用いて、HECTD1のmRNA発現とタンパク発現の相関ならびに、タンパク発現と予後について検討する。また、HECTD1発現が異なる乳癌組織を用いた網羅的RNAシークエンス解析を行い、発現変動遺伝子を同定する。
|
Causes of Carryover |
おおむね研究計画の金額を使用したが、端数の金額を次年度使用額とした。
|
Research Products
(1 results)