2022 Fiscal Year Research-status Report
Intestinal Organoid transplantation in pediatric IBD patients
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21K08641
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松下 航平 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (70750777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 勇樹 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10555551)
内田 恵一 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30293781)
井上 幹大 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (30422835)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オルガノイド / 炎症性腸疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児炎症性腸疾患(小児IBD)は,成人の炎症性腸疾患と比べて、重症化しやすく罹患部位が広範であることが多く、さらに病勢やステロイド使用に伴う成長障害に留意する必要があることから、その後の患児の将来まで見据えたトータルケアを必要とする。近年、抗TNF-α抗体製剤などの治療薬(生物学的製剤)の登場により、小児IBDの治療においても大きな変化がみられ始めてはいるものの、他の欧米諸国と同様に日本においても、IBD患者の発症率は年々増加傾向にあり、Crohn病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)の両者とも我が国の指定難病疾患(それぞれ指定難病96、指定難病97)に認定されていることから、非常に高額の医療を要する生物学的製剤の普及により、昨今の医療費高騰や医療経済の側面からみても、早急な対処が望まれる。さらに小児IBDでは、成人のIBDと比べて、その後フォローしていく経過も長期に渡るため、発症により腸での潰瘍形成→治療での一時的寛解→再燃という流れを繰り返すうちに、腸管での線維性瘢痕から狭窄症状を呈し、腸管切除等の外科手術を余儀なくされることも多い。特に小児CDの場合には、繰り返す腸管切除術等により、将来的に短腸症候群となってしまうこともあり、未だ安全性が確立していない小腸移植を選択せざるを得ない状況に陥る症例も認められる。 当研究では、小児IBD患児における内視鏡検査時の生検サンプルを用いて、同一種・同一個体からの腸管上皮細胞をシャーレ上で3次元構造を保ったまま培養するというOrganoid(オルガノイド、通称mini gut)を樹立し、それを潰瘍形成時に内視鏡下に移植することで、炎症が鎮静化した後に線維性瘢痕や狭窄状態になってしまうのを未然に防ぐという画期的な治療法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IBDモデルマウスでのOrganoidの成長・分化レベルの解析や、機能的解析などがまだ十分に進んでいない。 また、小児IBD患者での生検組織でのOrganoid作成を予定しているが、院内での倫理審査が通っておらず、進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
IBDモデルマウスでのOrganoidの増殖能や分化能の評価を、Western Blot、フローサイトメトリー、免疫組織学的染色などを行い、検討を進める。 また、炎症暴露(IL-6やLPSとの共培養など)や低酸素暴露などによるOrganoidの成長の変化を比較検討し、上記増殖能や分化能の他に、二光子レーザー顕微鏡を用いてOrganoidの立体構造を観察し、構造的な特徴を検討する。
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Causes of Carryover |
IBDモデルマウスのOrganoid作成が進まず、増殖能や分化能を解析する物品が、当初の予定より少なく済んだため。 今後、上記解析を進める予定である。
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