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2022 Fiscal Year Research-status Report

Establishment of high-precision intraoperative rapid diagnostic method by new biological observation method for Hirschsprung's disease-related diseases

Research Project

Project/Area Number 21K08642
Research InstitutionMie University

Principal Investigator

小池 勇樹  三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10555551)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 内田 恵一  三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (30293781)
井上 幹大  三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (30422835)
松下 航平  三重大学, 医学部附属病院, 助教 (70750777)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsヒルシュスプルング病類縁疾患 / ヒルシュスプルング病 / 新規生体蛍光観察 / 術中応用
Outline of Annual Research Achievements

当研究のメインテーマであるヒルシュスプルング病類縁疾患における腸管神経叢の生体観察に関しては、該当期間中には新たな症例がみられず、代わりにヒルシュスプルング病患児における腸管神経叢の検討を施行した。
まず、ヒルシュスプルング病患児3例において、クルクミンと多光子レーザー顕微鏡による新規生体蛍光観察手法を用いて腸管神経叢の観察を行った。クルクミンによる蛍光染色は切除標本においては、およそ3時間程度は蛍光発色を呈することが判明した。これは術中応用を考慮した際には、十分な観察時間であった。
またクルクミンによる蛍光染色を行っても、粘膜面からの観察においては、粘膜層から粘膜下層までの距離は、漿膜面から筋層までの距離に比べて深く、粘膜下神経であるMeissner's plexusの生体観察は、現時点でのレーザーパワーにおいては、精細な画像イメージを獲得することは困難であった。一方で筋層間神経叢であるAuerbach's plexusに関しては、腸管漿膜面からの観察において、腸管を損傷することなく、非常に高解像度のイメージとして獲得可能であった。
同疾患の3例において、術中に至適切除ラインの同定に関して最もポイントとなるTransitional zoneにおける検討を行ったところ、同じ腸管レベルにおいても、腸間膜付着側(6時方向)と対側(0時方向)においては、腸間膜付着側の方がAuerbach神経叢がより低形成となっていることを突き止めた。これは3例とも同じ傾向を示し、0時方向と6時方向においては、有意差をもって腸管神経叢の神経束の数やサイズの低形成・萎縮が6時方向でみられることを、詳細に検討することが可能であった。さらにTransitional zoneの口側断端において、全周性の観察を行い、やはり前壁と後壁における腸管神経叢の不均衡分布がみられていることを確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ヒルシュスプルング病類縁疾患の希少性により、同疾患患児における臨床検体を用いた検討は当該研究期間中には困難であったが、その一方でヒルシュスプルング病患児の術中切除標本を用いた新規生体蛍光観察手法により、詳細な検討が可能であった。また従来の病理組織学的検討では非常に煩雑かつ困難であった腸管神経叢のネットワークを含めた検討が、当観察方法ではより詳細な腸管神経叢の解析が可能であることが判明し、腸管神経叢の形成不全がメインである当疾患の術中診断においては、この新規生体蛍光観察手法は有用な診断モダリティーとなることがわかってきた。今後もヒルシュスプルング病類縁疾患患児の手術検体を用いての観察研究を遂行することが最も優先されるが、腸管神経の形成不全という点では同じ疾患群であるヒルシュスプルング病患児の切除標本を用いての検討は、希少性の観点から考慮すると比較的継続可能であるため、引き続き同疾患における腸管神経叢のネットワーク分析を行い、術中至適切除ラインの同定という患児にとって小児外科医にとっても有益な臨床情報が得られるように鋭意研究中である。
また術中観察を実現するために、内視鏡のトロリーサイズの多光子レーザー顕微鏡を開発中で、現在はさらに一歩進んで消化管内視鏡の先端にセットアップ可能なレベルのファイバータイプの顕微鏡も開発中である。今年度中にはこの顕微鏡はプロトタイプが完成する見込みである。

Strategy for Future Research Activity

手術室に持ち込み可能なレベルの新規多光子レーザー顕微鏡のプロトタイプは、今年度中に完成予定である。これにより世界初のヒルシュスプルング病患児における術中腸管神経叢の顕微鏡レベルの観察を目指す。またヒルシュスプルング病類縁疾患の患児は希少性があり、患者数が十分得られない可能性があるが、同疾患群であるヒルシュスプルング病患児の切除検体を用いた腸管神経叢の観察を行うことで、同等レベルの研究が可能と見込んでおり、引き続き当研究のメインテーマであるヒルシュスプルング病類縁疾患における術中至適切除ラインや至適人工肛門造設部位の同定に向けての研究を行っていく方針である。

Causes of Carryover

新規生体観察手法の要であるクルクミンは、純度99%以上の滅菌された製剤として用いる必要があり、これらの薬剤購入数が当初の計画よりも少なく済んだため、次年度使用額が生じた。また多光子レーザー顕微鏡のメンテナンス費が、当初の計画よりも費用がかからなかったため、次年度使用額が生じた。使用計画としては、今後もクルクミンの薬剤購入費や顕微鏡観察時に使用するプレパラートなどの消耗品、画像解析ソフトが必要となるため、これらを購入する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 特集 小児外科を取り巻く最新テクノロジー 消化管神経叢の生体蛍光観察2022

    • Author(s)
      小池 勇樹、内田 恵一、井上 幹大、佐藤 友紀、長野 由佳、松下 航平、溝口 明、問山 裕二
    • Journal Title

      小児外科

      Volume: 54 Pages: 989~993

    • DOI

      10.24479/ps.0000000250

  • [Presentation] 小児外科における最先端医療の現状と展望【International】新規生体蛍光観察手法によるヒルシュスプルング病患児における腸管神経叢の非侵襲的観察2022

    • Author(s)
      小池 勇樹, 内田 恵一, 佐藤 友紀, 長野 由佳, 松下 航平, 溝口 明, 問山 裕二
    • Organizer
      日本外科学会定期学術集会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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