2022 Fiscal Year Research-status Report
ゼラチンマイクロスフェアを用いた増殖因子投与による人工管腔臓器作製法の開発
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21K08647
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
内田 史武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 研究協力員 (00866270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (80404268)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
町野 隆介 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90728081)
朝重 耕一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (70457547)
谷口 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (20773758)
土肥 良一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00817786)
高木 克典 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90635856)
野中 隆 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (30606463)
岩竹 真弓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40624614)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 軟骨分化 / バイオ3Dプリンター / 細胞凝集 / 人工気管 / 成長因子 / ゼラチンマイクロスフェア / 気管移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は幹細胞に成長因子を用いて軟骨に分化させることで,一定の軟骨の品質を得ることを目標にした。成長因子の投与についてはTGF-β super familyやFGF-2を用い,pelletを作製して成長因子の効果を検討した。軟骨の分化度評価においては,Alcian-blue染色,safranin-O染色,Glycosaminoglycan(GAG)量を定量することで行った。その結果,FGF-2とTGF-β3を用いて気管軟骨を作製する方針とした。バイオ3Dプリンターを用い,環状軟骨構造体,馬蹄形軟骨構造体,馬蹄形軟骨構造体に平滑筋を組み合わせた構造体(mimic気管)を作製した。これらいずれも軟骨部はAlcian-blue染色,safranin-O染色,免疫染色(Ⅱ型コラーゲン)で陽性であり,良好に軟骨に分化していることがわかった。mimic気管においては,平滑筋部の免疫染色(α-SMA,SMMHC11)から平滑筋は維持されており, 前面を馬蹄形軟骨で,後面を平滑筋で構成されたより実際の解剖構造に近い構造体の作製に成功した。この構造体のラットへの移植にも成功した。また成長因子をより高効率に投与するため,TGF-β1をゼラチンマイクロスフェア(GM)に付加し,構造体内で徐放させる方法についても実験を進め,hMSCを用いた管状軟骨構造体の作製にも成功した。この構造体も特殊染色と免疫染色から軟骨分化を確認できた。TGF-β3を用いて作成したmimic気管をラットへ移植し,1ヶ月モデルの解剖を行って,グラフトとしても軟骨としての機能を保持していることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初ラットの細胞を用いて人工気管を作製し,それをラットに移植する予定であった。GMを用いてTGF-β1をラットのMSCに投与したが,軟骨分化が得られなかった。成長因子を用いた軟骨分化のコンセプトを保ちつつ他の手段を模索し,ラットではなくヒトの幹細胞を用い,成長因子を選択,これでpelletを作製して最適な成長因子を選定することに時間を要した。またバイオ3Dプリンターによって軟骨構造体を作製に成功したが,より実際の解剖学的構造に近付けるために試行錯誤した。最終的により実際の解剖学的構造に近いmimic気管を作製できた。GMを用いた成長因子投与においては,構造体を作製した後の培地の吟味に時間を要 したが,最終的に軟骨分化が得られる調整法を獲得した。mimic気管のラットへの移植・1ヶ月モデルの作製を達成したが,母数が少なく,さらなる長期モデルも必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
より実際の解剖学的構造に近いmimic気管のラットへの移植に成功し,この移植モデルの組織学的解析も進んでいることから,ブタなど大動物における実験計画も進めている。GMを用いた成長因子投与についても構造体の作製に成功したため,動物への移植実験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による学会や出張などが減少したこと,また当初の計画よりもin vitroな実験を多くこなしたことで,動物移植実験の頻度が増加しなかったため。次年度は学会発表を増やし,ブタなど大型の動物を用いた実験にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)