2023 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外因子活性化と選択的神経堤細胞移植によるヒルシュスプルング病再生医療の開発
Project/Area Number |
21K08650
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田中 奈々 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (50530656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦尾 正彦 順天堂大学, 医学部, 教授 (00213504)
宮原 克 順天堂大学, 大学院医学研究科, 技術員 (00420844)
藤原 なほ 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20589543)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Hirschsprung病 / 腸管神経堤細胞 / 腸管神経系 / 細胞治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒルシュスプルング病(H病)では、口側から肛門側へ発達する腸管神経堤細胞(ENCC)が途中で停止することより無神経節腸管が生じるとされている。しかし、無神経節性腸管の腸内微小環境が、正常腸管と、またH病近位の神経節節腸管の腸内微小環境とどのように異なるかはいまだ不明である。前年度までに我々は、在胎18.5日のコントロールマウス腸管よりENCCを分離しNeurosphere(NS)を作成し、SOX10-VENUS+/ EDNRB(-/-)マウスの無神経節腸管に移植し、移植されたENCCを3Dイメージにて観察した。ニューロンのマーカーであるTuj-1陽性細胞の割合が経時的に高くなっていくことを示し、移植したENCCの分化がすすんでいることを明らかにした。さらに、NSを在胎12.5日において、口から下降するENCC最先端のすぐ遠位で切断し得られた無神経節腸管(KO-wf)および野生型(WT)、およびWTと同部位で切断した遠位KO無神経節腸管(KO-d)に移植した。ENCCの分化は、Tuj-1とGFAP(グリアマーカー)抗体を用いたホールマウント免疫染色を行い評価した。移植されたENCCはすべての群で無神経節腸管内に移動し、腸管神経叢と粘膜下神経叢を形成した。レシピエント腸管に移植されたENCCにおけるTuj-1/GFAP陽性細胞の面積の比は、KO-dではKO-wfおよびWTと比較して有意に低かったが、KO-wf群とWT群では有意差は認められなかった。このことから、KO-dではKO-wf群およびWT群と比較して、グリア細胞への分化に対してニューロンへの分化が低下していることが示唆された。本研究により、移植部位によるENCCの分化の違いが明らかになった。H病に対する細胞治療をさらに発展させるためには、レシピエントの腸内環境が移植ENCCに与える影響を考慮することが重要である。
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