2021 Fiscal Year Research-status Report
非乳頭部十二指腸腫瘍におけるERBB受容体ファミリーの解析とバイオマーカー開発
Project/Area Number |
21K08771
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 慶史 金沢大学, 附属病院, 講師 (30608691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠島 里美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20444200)
澤田 武 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (60345626)
佐々木 泰史 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70322328)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 十二指腸腫瘍 / 十二指腸腺腫 / 小腸癌 / 遺伝子変異 / 遺伝子増幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、非乳頭部十二指腸腺腫・十二指腸癌におけるERBB受容体ファミリーの遺伝子変異・遺伝子発現を包括的に評価することにより、発癌への関与を明らかにし、治療標的となり得るかどうかを検討することである。さらに、十二指腸癌診療におけるERBB受容体ファミリーのバイオマーカーとしての有用性を明らかにすることである。 研究協力施設で内視鏡的もしくは外科的に切除・保存されている非乳頭部十二指腸腺腫、粘膜内癌、浸潤癌の計 72病変(暫定的な診断は、小腸型腺腫 30例、幽門腺腺腫 5例、小腸型粘膜内癌 14例、胃型粘膜内癌 8例、浸潤癌 15例)を集積した。今後、これらの病変は複数の消化管専門病理医によって全例が病理学的に再評価される。浸潤癌に関しては、今後、粘液形質発現をもとに小腸型腫瘍と胃型腫瘍に分類する予定である。 また、全症例に関して、EGFR, HER2 (ERBB2), ERBB3, ERBB4の免疫組織化学を施行した。今後、HER2の免疫組織化学で2+以上であった症例のみ、HER2 dual color in situ Hybridization (DISH)での評価を行う。さらに、ミスマッチ修復蛋白(MLH1, MSH2, MSH6, PMS2)の免疫組織化学も行う予定である。 免疫組織化学に並行して、ホルマリン固定パラフィン包埋切片からDNA抽出をおこなった。DNAのクオリティチェックは終了しており、現在はERBB2, ERBB3, ERBB4の遺伝子変異とコピー数変化(遺伝子増幅)の解析を行っている。 結果を待って、組織型とERBB受容体ファミリーの免疫組織化学、HER2 DISH、遺伝子変異とコピー数変化の関連を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究機関との連携も良好であり、症例の集積、未染色スライドの作成、DNAの抽出とクオリティチェック、ERBB受容体ファミリー(EGFR, HER2, ERBB3, ERBB4)の免疫組織化学に関して問題なく行うことが可能であった。また、遺伝子変異とコピー数解析、HER2 dual color in situ Hybridization (DISH)も順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子変異とコピー数変化(遺伝子増幅)のデータを取得する。また、HER2遺伝子増幅に関して、dual color in situ Hybridization (DISH)での評価を行う。それらとERBBファミリーの免疫組織化学との比較を行い、関連の有無を検討する。それにより、従来明らかにされていない非乳頭部十二指腸腫瘍の各段階におけるERBB受容体ファミリーの異常の頻度を確認する。 さらに、ミスマッチ修復蛋白(MLH1, MSH2, MSH6, PMS2)の免疫組織化学も行い、DNAミスマッチ修復欠損(deficient mismatch repair, dMMR)とERBB受容体ファミリー、特にHER2の遺伝子変異、遺伝子増幅との関連を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症により、旅費などの使用がなくなったため。今後、一部をミスマッチ修復蛋白の免疫組織化学、HER2のdual color in situ Hybridization (DISH)に用いる予定である。
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