2021 Fiscal Year Research-status Report
非小細胞肺癌におけるドライバー遺伝子と細胞周期関連遺伝子を標的とした治療開発
Project/Area Number |
21K08889
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
小副川 敦 大分大学, 医学部, 准教授 (90432939)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 美千代 大分大学, 医学部, 講師 (30404388)
杉尾 賢二 大分大学, 医学部, 教授 (70235927)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 上皮成長因子受容体 / 肺腺癌 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年から2020年に外科切除されたEGFR変異陽性肺癌83例(男性27例、女性56例、年齢中央値64歳、p0-I期71例、pII期-12例)を対象とし、抗cyclin D1抗体(SP4、ニチレイ)による免疫組織化学染色を行った。腫瘍細胞の核に染色を認めるものを陽性とし、予後や臨床病理学的背景因子との関連を解析した。次に、EGFR変異陽性肺癌細胞株(PC9, H1650, H1975)を用い、osimertinibとCDK4/6阻害剤であるabemaciclibの併用効果についてCellTiterGloを用いた細胞増殖抑制試験により解析した。併用効果についてはmedian effect法を用いて検討した。さらに併用効果の機序を解明するため、ウェスタンブロットによりシグナル伝達経路の解析を行った。 【結果と考察】 EGFR変異陽性肺癌の18.1%でcyclin D1陰性であり、背景因子としてcyclin D1陰性には病理病期II期以上(p=0.02)、リンパ節転移陽性(p=0.001)、リンパ管侵襲陽性(p=0.01)が関わっていた。性別、年齢、EGFR変異の種類(L858R、Del19)との関連は認めなかった。cyclin D1陰性群では有意に無再発生存期間が短かった(p=0.02)が、pN0症例に限るとcyclin D1発現の有無による無再発生存期間の差は消失した。EGFR変異陽性肺癌細胞株を用いた検討では、osimertinibとabemaciclibの併用効果は相乗的であることが示され、その効果はAKTリン酸化の抑制を介していた。EGFR変異陽性肺癌において、cyclin D1はリンパ管侵襲やリンパ節転移と関連していた。EGFR変異陽性肺癌細胞株で、CDK4/6阻害剤はEGFR-TKIに対する上乗せ効果を認め、この併用療法は有望であると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに進捗している。 予想される結果と異なり、非小細胞肺癌においてはcyclin D1の低下と悪性度が関連していることが判明したため、追加で他の細胞周期関連分子の解析を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の研究を継続し、細胞株やオルガノイドを用いた検討を行う。 細胞周期の解析を行うため、フローサイトメトリーを活用する。 臨床検体を用いた解析も引き続き行う予定である。
|
Causes of Carryover |
試薬・機器の新規購入が必要な研究を本年度に行う予定であったが、研究の進行上、既存の試薬、機器を用いた研究や、既存データを基にした解析を先行することにしたため、次年度に本年度購入予定であった試薬・機器の購入を行うことにした。次年度は、新たな試薬、キットを用いた研究を予定している。
|
Research Products
(1 results)