2022 Fiscal Year Research-status Report
非小細胞肺癌におけるドライバー遺伝子と細胞周期関連遺伝子を標的とした治療開発
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21K08889
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
小副川 敦 大分大学, 医学部, 准教授 (90432939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 美千代 大分大学, 医学部, 講師 (30404388) [Withdrawn]
杉尾 賢二 大分大学, 医学部, 教授 (70235927)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | EGFR遺伝子変異陽性肺癌 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
EGFR変異陽性肺癌切除症例におけるcyclinD1の発現と臨床病理学的背景や予後との関連を明らかにすること、EGFR変異陽性肺癌細胞株におけるEGFR-TKIとCDK4/6阻害剤の併用効果を検討することを目的とし、以下の解析を行った。Cyclin D1免疫組織化学染色を行った83例のうち、54例について、スライドの腫瘍組織を顕微鏡で撮影、解析ソフトウェア(BZ-H4C)を用いて陽性細胞数を自動計算した。計算後、各画像は目視で確認、補正し、Cyclin D1の発現と臨床病理学的背景因子との関連を検討した。また、EGFR変異陽性肺細胞株(H1650、H1975、PC9)にAbemaciclib (CDK4/6阻害剤)とOsimertinib (EGFR-TKI)を単剤、または併用して投与し、PIとEdUによる2重染色を行い、フローサイトメーターで蛍光シグナルを計測した後、G1/S/G2+M期の割合をFlowJoで解析した。【結果と考察】陽性割合の平均値が50%であったため、50%をカットオフとして高発現群、低発現群に群分けした。臨床背景では、女性と非喫煙者でcyclinD1高発現の症例が多く見られた。病理学的因子やEGFR変異のサブタイプでは、有意差を認めなかった。術後無再発生存曲線では、高発現群は低発現群よりも予後良好な傾向にあった。細胞株の検討では、PIとEdUの二重染色の結果、いずれの細胞株においてもAbemaciclib単剤投与時と2剤併用時に、S期の割合が減少した。Osimertinib単剤投与下でもS期の減少は見られたが、Abemaciclib投与下ではS期は更に減少し、2剤併用下ではS期はほぼ消失した。cyclin D1高発現群で、女性、非喫煙者が多く予後良好であるという結果をうけて、その要因・機序に関して臨床検体及び細胞株を用いた研究を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EGFR遺伝子変異陽性肺癌において、cyclin D1の発現とその意義が予想より複雑であることが判明したため、既存の細胞株による検討の他に実験を行う必要が出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床検体を用いた解析について、症例数を追加する。 肺癌細胞株の他に、遺伝子導入正常上皮細胞株、乳癌細胞株を用いた検討を行う。
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Causes of Carryover |
試薬・機器の新規購入が必要な研究を本年度に行う予定であったが、研究の進行上、既存の試薬、機器を用いた研究や、既存データを基にした解析を先行することにしたため、次年度に本年度購入予定であった試薬・機器の購入を行うことにした。次年度は、新たな試薬、キットを用いた研究を予定している。
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