2021 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学を利用した青斑核ニューロン制御による全身麻酔薬作用機序の解明
Project/Area Number |
21K08943
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
倉部 美起 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30635579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 美佳 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20774061)
上野 将紀 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40435631)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全身麻酔薬 / 青斑核 / 光遺伝学 / パッチクランプ |
Outline of Annual Research Achievements |
全身麻酔薬の作用機序は現代においても未解明である。睡眠・覚醒と密接な関わりを持つ、“青斑核”を起始核とするノルアドレナリン(NA)ニューロンが全身麻酔時の意識消失や覚醒にも関与していると考えられているが、詳細は不明である。近年、青斑核ニューロンが一様ではなく、NAニューロン以外にGABA(gamma-Aminobutyric acid)ニューロンを含み、相互作用していることが明らかになったことから、GABAニューロンとNAニューロンとの相互の関係性が、全身麻酔薬の作用機序に大きく関与しているのではないかと考えた。そこで、全身麻酔時の青斑核NA/GABAニューロンの活動が果たす機能的役割とそれぞれの神経の相互関連性を、光遺伝学的手法を用いて解明することを目的とした。 初年度は光遺伝学的手法の導入と確認を組織学的・生理学的両面から行った。青斑核NAニューロンを特異的に操作するために、NAニューロン特異的プロモーターPRSx8下でチャネルロドプシン・アーキロドプシンを発現するアデノ随伴ウイルスを作製し、C57BL/6マウス青斑核に脳定位固定装置を用いて投与した。免疫組織学的に、青斑核ニューロンに特異的に発現することを確認した。さらにこれらのマウスから青斑核スライス標本を作製し近赤外線 微分干渉顕微鏡を用いて可視下にホールセルパッチクランプ記録を行った。NAニューロンは電流固定モード下で3~4Hzの活動電位を発していた。また、光刺激によって活動電位の発火頻度が増加あるいは減少することを確認した。 これらの結果を基に、次年度はNA/GABAニューロン制御下に電気生理学解析を進め、無麻酔状態のマウスからの脳波・行動解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度中に光遺伝学手法の確立(ウイルスの作製と導入・発現の確認)まで行うことができた。電気生理学的解析についても現在スライス標本からのパッチクランプ記録を行っているところであり、順調に進んでいる。 無麻酔動物からの脳波解析については次年度の課題であるが、解析装置についても稼働することが確認済みであるため進捗状況は順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
光遺伝学手法の導入が確立したため、今後は導入したマウスを用いて①電気生理学的解析、②無麻酔マウスからの行動実験と脳波解析、を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
実験が順調に進んだため、必要なマウスの数や消耗品代が抑えられたため次年度使用学が生じた。次年度は顕微鏡の部品購入が必要なことから繰り越した分で補う予定である。
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