2023 Fiscal Year Annual Research Report
neuroprotective effects after traumatic brain injury by enteric hydrogen generation from Si-based agent
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21K09016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細見 早苗 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90644005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 昌一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20216063)
小山 佳久 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40397667)
小林 悠輝 大阪大学, 産業科学研究所, 特任准教授 (40723557)
小倉 裕司 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (70301265)
伊藤 弘 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80836594)
小林 光 大阪大学, 産業科学研究所, 特任教授(常勤) (90195800)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 頭部外傷 / 水素 / 抗酸化物質 / 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭部外傷後の神経炎症は、直接損傷を受けていない神経細胞にまで影響を及ぼし、重篤な後遺症を引き起こすため、その制御が緊喫の課題となっている。我々は、頭部外傷後の神経炎症の病態の解明をすすめ、活性酸素種(ROS)シグナルを起因とした炎症性サイトカイン産 生を抑制することで、遷延性の神経炎症を制御できると着想した。本研究では、体内で多量の水素を持続的に発生可能なシリコン製剤を用いた新規抗酸化療法によって、頭部外傷後の過剰な炎症反応を抑制し、神経機能回復へと導くことで新たな治療法の確立を目指した。 すでに頭部外傷マウスモデルにおいて、シリコン製剤による頭部外傷後の脳組織における抗酸化・抗炎症効果が確認された。また、空間認識と短期記憶の障害を改善することも確認できた。本年度は、頭部外傷モデルにおいて主に次の2つのメカニズムで水素シリコン製剤により頭部外傷後の神経機能回復が導けることを確認した。 水素シリコン製剤により活性酸素種(ROS)シグナルを起因とした炎症性サイトカイン産生を抑制することにより、①頭部外傷後の炎症反応による二次的損傷を縮小し、直接損傷を免れた神経回路が保護されること、②過剰な炎症を制御し、グリア瘢痕形成を抑制することにより、神経細胞の内因性の再生を促す周囲環境を整えられ、障害された神経回路が再編成されること。 本研究で使用したシリコン製剤は、すでにヒト用サプリメントが販売されている。本研究結果を基に、今後は頭部外傷患者において水素シリコン製剤投与の効果を多角的に評価していく段階にある。
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