2021 Fiscal Year Research-status Report
補正因子を検出し発作拡延脳波より真のてんかん焦点を同定する
Project/Area Number |
21K09160
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
菅野 秀宣 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (90265992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯村 康司 順天堂大学, 医学部, 助教 (30819222)
中島 円 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50317450)
田中 聡久 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70360584)
鈴木 皓晴 順天堂大学, 医学部, 助教 (90884065)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | てんかん / 脳波 / 発作解析 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかん発作を起こす焦点を同定するために位相振幅結合を用いた解析を行った。本研究ではより強く変化が生じている発作時解析を対象にしている。先行研究で位相振幅結合がてんかん焦点を見いだす因子として報告されているため、本研究においてはいくつかの改良点を加えて解析を行った。 方法:硬膜下電極を留置して焦点診断を行った難治性側頭葉てんかん患者の30発作を対象とした。てんかん発作を生じる前2分より発作が完全に終わるまでを解析した。位相振幅結合は0.2秒の差で連続的に1秒間の計算をする連続解析を採用した。発作前後の100エポックで頭蓋内脳波を解析し、発作起始部位である海馬、鈎、側頭葉外側における位相振幅結合を現すmodulation index (MI)の比較を行った。位相振幅結合は徐波(0.5-1Hz, 3-4Hz, 4-8Hz)と高周波(80-200Hz, 200-300Hz)での結合値を本研究に採用した。 結果:海馬でのMI値(80-200Hz / 3-4Hz, 80-200Hz / 4-8Hz)は周囲からのそれらに比べて有意に高値を示した。発作起始部位では発作時に上昇したMI値が一旦低下しdipを形成する特徴があることが解明された。 結論:MI値(80-200Hz / 3-4Hz, 80-200Hz / 4-8Hz)を連続的に解析することで、状態が刻々と変化するてんかん発作時においてもてんかん焦点を周囲より明確に判別することができる。よって、位相振幅結合はてんかん焦点を同定するための有用な特徴量になり得る。 初年度は位相振幅結合がてんかん焦点を見いだす特徴量として有用であることを見いだせた。併行して機能的結合、因果関係解析を行っている。こられの解析時には修正点が見いだせており、再度計算を行う予定としている。機能的結合と因果関係解析はてんかん焦点同定のための有力な候補になると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標は、非てんかん焦点部位の脳波から焦点部位の空間的および時間的推定を行うことである。そのためにはこれらの部位を判別し得る脳波の特徴量を見いだすことが第一と考えている。その候補としての位相振幅結合の解析を行い、有意な結果を得ることができた。これらの結果は論文として投稿している。 進行中の解析としては、機能的結合、因果関係解析を行っているが、アルゴリズム上の問題点を発見し、再解析を開始したところになる。これらの特徴量は有力なものと考えており、先行研究の結果と合わせて、てんかん焦点と非焦点を判別する有力な特徴量になる候補である。 解析を実際に行うことで直面した問題として、研究計画時には解析区間を発作間欠相、low voltage repetitive spike相、low voltage fast activity相、high voltage repetitive spike相、spike & suppression相に分ける事としていた。しかしながら、解析を進めるに当たり発作時脳波を主観的に分けること自体にbiasがかかる事が懸念された。よって、0.2秒の差をもち連続的に1秒間の解析を行う連続解析を考案し、位相振幅結合の結果を出している。 もう一つのアプローチ方法として行っているのは、発作時脳波を教師なしモデルの機械学習を行うことで発作相を客観的に分類させようというものである。本手法で発作相を分類することが安定して可能になれば、各々の相での特徴量解析を行えるのではないかと考察している。 全体的には研究は順調に進行していると考えている。実際に解析を進める事で分かってきた問題点を抽出することはできており、その修正も考案できている状態と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、有用なてんかん発作起始を示す特徴量として捕らえることができた位相振幅結合の他に他の特徴量を追加する事を第一の目標とする。現在検討を行っている機能的結合性および因果関係解析が候補であり、それらの有用性を確認する。それにより多特徴量を用いたてんかん焦点と周辺部位を判別できる機械学習モデルを作成、精度判定を行う。 第二の目標は、てんかん焦点と非てんかん焦点間を結ぶ神経線維をMRIより求め、その間でこれら特徴量の減衰と線維間距離よりてんかん性放電の空間的な関連性を求める事とする。我々は他研究において発作間欠期脳波が神経線維を伝わる理論的な拡延をアニメーション化する事に成功した。同手法をこの脳波特徴量の減衰解析に応用することを計画している。 研究計画の時点では、非てんかん焦点の脳波よりてんかん焦点の発作時波形を成形するアルゴリズムを策定する事を目標にしていた。しかしながら、必ずしも波形を成形することにはてんかん焦点診断において臨床的貢献度は高くないと再考している。よって、頭蓋内電極がてんかん焦点上に留置されなかったとしても、MRI上に仮想のてんかん焦点を推定することができ、周辺への拡延状況をアニメーション化する事が実臨床に寄与すると考え、この事を最終目標に掲げるに至った。
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Causes of Carryover |
研究の遂行のために書籍や解析ソフトの購入を計画したが、海外からの取り寄せ品であるため年度内に搬入されることが困難であった。この計画は次年度に引き継ぎ研究を進める方針である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Extent of Leptomeningeal Capillary Malformation is Associated with Severity of Epilepsy in Sturge-Weber Syndrome2021
Author(s)
Sugano H, Iimura Y, Igarashi A, Nakazawa M, Suzuki H, Mitsuhashi T, Nakajima M, Higo T, Ueda T, Nakanishi H, Niijima S, Karagiozov K, Arai H
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Journal Title
Pediatr Neurol
Volume: 117
Pages: 64-71
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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