2022 Fiscal Year Research-status Report
羊膜間葉系幹細胞由来エクソソームを利用した次世代型脳梗塞治療法の確立
Project/Area Number |
21K09163
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
仁藤 智香子 日本医科大学, 医学部, 教授 (30409172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 智 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00366733)
宮川 世志幸 日本医科大学, 医学部, 講師 (90415604)
笠原 優子 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (90391911)
永田 哲也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト准教授 (50362976)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 細胞治療 / エクソソーム / 脳虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の実験計画では, C57BL/6マウスの一過性中大脳動脈閉塞モデル(tMCAO)を用いる予定であったが, 虚血慢性期の動物の運動・認知機能の評価を行うためには, より生存率の高いモデルを使用する必要があり, CB-17マウスを用いた遠位中大脳動脈永久閉塞モデル(dMCAO)に変更した。羊膜間葉系幹細胞(AMSC)よりエクソソームを抽出し, AMSC由来エクソソーム(AMSC-EXO)をマウスの頸静脈に投与することにより, 虚血7日後において 対照群に比し有意な梗塞および浮腫の縮小効果を認めた。また, 組織免疫染色法にて, 皮質梗塞境界領域における炎症性サイトカイン(TNF-α, IL1-β)発現や活性化ミクログリア(Iba-1)の抑制やFluoro-JadeC染色法による神経細胞死の有意な軽減を認めた。運動機能評価については, AMSC-EXO投与群ではRota-Rod試験において有意な騎乗時間の延長を認めた。また, 認知機能改善効果をみるためにY迷路試験を行ったところ, AMSC-EXO群では動物の正答率は改善傾向であったが,統計学的な有意差は得られなかった。 マウスdMCAOモデルにおいて, AMSC-EXOの静脈投与は抗炎症作用および神経細胞死の抑制効果を認めた。この脳保護効果により, 運動機能の改善が促進された可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初に 虚血再灌流モデルにマウスを用いたことにより予想以上に動物の生存率が悪く、適した動物モデルの選択に時間を要したことが主な理由と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回, マウスdMCAOモデルを用いてAMSC-EXO静脈投与により運動機能の改善効果を認めたが、認知機能については有意差が得られなかった。虚血後7日目の評価では早期であった可能性があり,今後は虚血14日後や28日後などにY迷路試験を施行し, より長期的な評価を行う必要があると考えられた。また, 同モデルにおけるAMSC-EXOの血管新生作用についても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究の遂行が遅延しているため、支出が減り、次年度使用額が生じた。 今後は主に実験に要する消耗品の購入に使用する予定である。
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[Presentation] ラット脳虚血モデルにおける羊膜由来間葉系幹細胞投与の脳保護効果2022
Author(s)
3.高橋 史郎, 仁藤 智香子, 荒川 将史, 久保田 麻紗美, 須田 智, 宮川 世志幸, 笠原 優子, 澤 百合香, 酒井 真志人, 岡田 尚巳, 木村 和美
Organizer
第65回 日本脳循環代謝学会学術集
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[Presentation] 脳虚血再灌流障害における羊膜由来間葉系幹細胞移植による脳保護効果の検討2022
Author(s)
5.高橋史郎, 仁藤智香子, 宮川世志幸, 久保田麻沙美, 須田智, 笠原優子, 林真広, 中石智之, 上田恭義, 酒井真志人, 木村和美, 岡田尚巳
Organizer
第28回 日本遺伝子細胞治療学会学術集会