2023 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析による脳動脈瘤組織解析:アラキドン酸を中心とした破裂関連因子の同定
Project/Area Number |
21K09188
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
竹田 理々子 帝京大学, 医学部, 教授 (70649847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 大樹 埼玉医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80922608)
栗田 浩樹 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70262003)
榎元 廣文 帝京大学, 理工学部, 准教授 (30609392)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アラキドン酸 / リノレイン酸 / 脳動脈瘤 / くも膜下出血 / オレイン酸 / ドコサヘキサエン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「アラキドン酸(arachidonic acid: AA)の蓄積が未破裂脳動脈瘤から破裂へのトリガーになる」という仮説のもと、AAの脳動脈瘤破裂への関与を明らかにすることを目的とした。 我々は先行実験として、ヒト脳動脈瘤壁を検体として質量分析を行い、未破裂瘤壁ではAAがノイズレベルでしか検出されないのに対し、破裂瘤では未破裂瘤に比べてAAが約300倍上昇していることを明らかにした。同時にAAの前駆物質であるリノ-ル酸 (Retinoic acid:LA) も破裂例では未破裂例に加えて有意な上昇を認め、この所見は脳動脈瘤の破裂メカニズムにAAが関与していることを示唆していた。 今回我々はマウスの脳動脈瘤モデルを用いてAAと脳動脈瘤破裂との関係性を解明すべく、マウス脳動脈瘤壁の質量分析を行うことを今回の実験の具体的な目的とした。マウスの脳動脈瘤モデルはエラスターゼを脳槽内に注入することで脳血管の内弾性板を破壊し、人為的高血圧による剪断応力を脳血管に与えることで脳動脈瘤が発生し、自然経過で脳動脈瘤が破裂するというモデルを用いた。 上記モデルを用いて実験的に脳動脈瘤を誘導した。30個体のうち、明らかに動脈瘤を形成していた3個体(破裂2, 未破裂1)を質量分析Desorption electrospray ionization Mass spectrometry imaging (DESI-MSI)で解析した。その結果3個体ともに瘤とその周囲にはAAは描出されなかった。一方で3個体とも動脈瘤とその周囲にLA, オレイン酸, ドコサヘキサエン酸の集積を強く認めた。
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