2022 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナル経路の至適な活性化による大腿骨頭壊死症の新規治療法の応用開発
Project/Area Number |
21K09200
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹上 靖彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50755345)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧田 和也 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (10843352) [Withdrawn]
関 泰輔 愛知医科大学, 医学部, 教授 (20528822)
大澤 郁介 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40822812)
加藤 大策 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (20925747) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Wntシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、Wnt/βカテニンシグナルをより活性化する薬剤Yの投与によって、その骨代謝の変化がどのような機序で引き起こされているかを検討した。マウス大腿骨遠位顆部の虚血性骨壊死モデルを用いた. 評価のため、取り出された検体から骨形成および骨吸収の状態を評価するため、以下の解析を行った。1)RT-PCRによるRUNX2, OPG, Osterix, BMP2の骨形成マーカー。およびRANKLの骨吸収マーカーについてその遺伝子発現について検討を行った。結果として、薬剤Y投与群では非投与群と比較して、骨吸収マーカーであるRANKLの発現が有意に減少していた。一方骨形成マーカーではBMPの発現の上昇が認められたのみであった。 そこで、2)骨形成および骨吸収の変化について骨形態計測を用いた評価を行った。テトラサイクリンを蛍光染色として投与し、また薬物Yを投与し48時間後に屠殺。48時間での骨形成および骨吸収について蛍光免疫染色にて検討した。また破骨細胞の細胞数についても自動計測を行った。骨形成は薬物Y投与群および非投与群で有意な違いを認めなかったものの、破骨細胞は薬物Y投与群において有意にその数が抑制されていた。これらのことから、昨年度までに発見したHE染色および力学的強度は骨吸収を強力に抑制することで生じていることが明らかとなった。 また、3)この骨代謝の変化がどのような機序で生じているかについてRT-PCRで検討したところ、慢性炎症を示すIL-6の発現が薬物Yの投与によって有意に減少していた。また化学免疫染色を行ったところ、骨の虚血部ではIL-6が過剰発現している一方、薬剤Yの投与によってその発現が抑制されることが明らかとなった。以上の結果から、薬剤Yによって骨吸収が抑制され、骨形成が促進される機序にはIL-6の抑制が関与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
効果がある薬剤を同定し、すでにその薬物の機序についても明らかとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
虚血性壊死であるため、血管新生について遺伝子学的解析および組織学的解析を行う。
|
Causes of Carryover |
実験が予想以上に順調に推移し、必要な実験回数が予定よりも少なかった。 今後さらなる詳細な検討を行う。
|