2023 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナル経路の至適な活性化による大腿骨頭壊死症の新規治療法の応用開発
Project/Area Number |
21K09200
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹上 靖彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50755345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧田 和也 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (10843352) [Withdrawn]
関 泰輔 愛知医科大学, 医学部, 教授 (20528822)
大澤 郁介 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40822812)
加藤 大策 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (20925747) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Wntシグナル / 大腿骨頭壊死 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性大腿骨頭壊死症 (ONFH)は,大腿骨頭の圧潰による股関節の疼痛および機能障害を呈する厚生労働省指定難治性疾患の一つである。ONFHは発生しても骨頭の強度が維持され、圧潰の発症をきたさなければ機能低下の程度が少ないことがわかっている。すなわち, ONFHが発生した大腿骨頭において、組織学的または物理的に強度を確保し,骨頭圧潰の発症を予防するような治療を開発することができればONFHの新規保存治療として速やかに臨床使用が可能となる. 抗スクレロスチン抗体は、Wnt/βカテニンシグナル(Wntシグナル)の抑制系であるスクレロスチンを阻害する. これによりWntシグナルが活性化され,骨形成が促進される。現在,この抗スクレロスチン抗体製剤は骨粗鬆症の治療薬として使用されている. ONFHとWntシグナルの関連について着目し,ONFH患者から手術によって摘出された大腿骨頭において免疫染色を行ったところ,移行層にWntシグナルが過剰に発現していることを確認した. また, 虚血性骨壊死モデルマウスを作製し, 抗スクレロスチン抗体製剤を投与することによる骨壊死部の変化について実験を行った. その結果, 1)虚血性骨壊死部において, 骨壊死した骨細胞の早期の回復, 2)虚血性骨壊死に伴う破骨細胞の活性化の増殖分化の抑制と,それにともなう骨吸収の低下, 3)マイクロCTを用いて観察を行ったところ虚血骨壊死部の骨梁, 海綿骨構造などの骨構造の回復, 4)骨壊死部の骨の物理的強度の上昇を認めた. また, 抗スクレロスチン抗体の投与によって, ONFHの病態の一つと考えられているInterleukin-6(IL-6)の発現が抑制されることを新たに見出した. 以上から抗スクレロスチン抗体にはIL-6を抑制することに併せて骨への直接作用からONFH発生後の発症予防効果を示す可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)