2021 Fiscal Year Research-status Report
Tetra-PEG-gelを用いた神経癒着予防および神経修復促進のための技術開発
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21K09243
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森崎 裕 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30508099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
酒井 崇匡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70456151)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経癒着 / ハイドロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経を扱う手術は、絞扼性神経障害に対する除圧・開放術と、神経切断に対する縫合術・移植術に大別される。絞扼性神経障害の代表として手根管症候群や肘部管症候群があげられ、現在でも数多くの手術が行われているが、術後の神経と周辺組織の癒着によって頑固な痛みや異常知覚が残存するケースが一定数発生する。癒着防止のために脂肪組織による被覆を行うこともあるが、癒着防止の有効性を示すエビデンスは明確ではなく、癒着予防の手段は現在も確立されていない。脊髄周辺の手術においても、除圧術後の硬膜や神経根周囲の癒着は術後の症状の改善を妨げ、また再手術の際には術野の展開を困難にし、医原性神経障害を誘発しうる。神経縫合術においては、縫合部への瘢痕組織の進入は癒着のみならず、術後神経障害の大きな原因と考えられている。このように、術後に起こる神経と周辺組織との癒着や瘢痕組織の形成は術後成績を下げ、患者満足度の低下に直結する、臨床上極めて重要な課題である。 本研究では、本学工学部で開発されたTetra-PEG-gelを神経組織の癒着防止に応用すべく、非臨床での基礎検討を行う。まずラット坐骨神経モデルを作成し、癒着予防効果について検証する。ラット硬膜や神経根など、脊髄周辺でも同様の検討を行う。さらに神経切断・縫合による修復モデルも作成した上で、間葉系幹細胞や神経治癒を促進する成長因子などをゲルに包埋し、癒着防止のみならず神経再生を最大限に促進するデバイスの開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、癒着モデルの作成を行っているが、購入した電気メスの不具合などがあり、癒着モデルの確立に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
癒着モデルの作成と、神経伝導速度検査をラットで行えるよう実験系を確立する。
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Causes of Carryover |
順調に研究が進んでいるため、必要以上に経費をかけずに済んだ。次年度以降の経費のかさむ解析等に使用する計画である。
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