2021 Fiscal Year Research-status Report
Stem alignment for the long-term stability of cementless stem after total hip arthritis
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21K09254
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
金泉 新 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90813618)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工関節 / 股関節 / アライメント / バイオメカニクス / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工股関節全置換術(以下THA)は世界で登録されているだけでも年間100万件以上行われ,本邦では年間10万件以上行われており,THAの件数は増加傾向である.人工股関節の大腿側の機種(以下ステム)に関して,骨セメントで固定するセメントタイプと骨セメントを用いずに骨が表面加工されたステムに錨着すると半永久的な固定性が得られるセメントレスタイプの2種類があり,欧米諸国ではセメントレスステムが主流であり,本邦では初回THAの約78%がセメントレスステムとなっている.セメントレスステムは数十社の医療機器メーカーから多種多様な機種が販売されており,股関節外科医はその中から機種を自由に選択することが可能である. しかし,セメントレスステムを選択する際に,症例ごとに異なる大腿骨に対して適切なステムは何かという課題に直面することがあるが,現状では大腿骨の形状に応じた適切なステム形状や設置アライメントに関して明確な規定がない.また,人工股関節置換術の手術件数の増加に伴い,ステムのゆるみや骨折による人工股関節再置換術の割合も増加傾向にあるが,その一因となる人工関節の機種と大腿骨の不適合や設置アライメントの影響による初期固定性不良や応力集中に関して不明な点が多い. 本研究の目的は,マイクロモーションや応力分布を評価することで,ステムの形状ごとに安定するステムの設置アライメントを明らかにすることである. 本研究成果は人工股関節の長期成績に貢献し,世界のTHA術後患者の健康寿命の延長に貢献につながると期待できる.また,適切なアライメントに設置可能なナビゲーションシステムや大腿骨の形態ごとに適したステムの開発研究へとつながる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は,予定していたステム設置アライメントとマイクロモーションおよび応力分布の解析を中心に解析を行った.手術前後のCTデータを用いて三次元画像ソフト(Mimics ver. 22, Materialise, Belgium.)を用いて大腿骨を三次元構築し,三次元モデリングソフト(3-matic Research 14, Materialise, Belgium.)を用い,当大学病院のTHA症例の術前大腿骨モデルに術後大腿骨をマッチングし,申請者らが構築した大腿骨近位髄腔軸座標系でステム設置アライメントを評価した. 症例ごとの大腿骨の骨密度を反映可能な有限要素解析ソフト(MECHANICAL FINDER ver. 11, Research Center of Computational Mechanics,Japan.)にCTデータを取り込み解析した.解析は弾性解析で,マイクロモーションを大腿骨とステムの接触面の要素節点における変位の差とした.但し,大腿骨とステムの接触面に摩擦係数を設定し,大腿骨遠位部を完全拘束する.ステム設置アライメントとマイクロモーションの術後大腿骨への影響に関して術直後から術後一年の単純X線像と比較し,ステムの初期固定性を評価した. 上記マイクロモーションに加えて,弾性解析で大腿骨の応力分布も評価した.ステム設置アライメントと応力分布の術後大腿骨への影響に関して,術後2年から3年のX線像の骨萎縮,骨透亮像や骨肥厚と比較し,ステムの長期固定性への影響を評価した. 上記研究内容に関してデータ解析を行い,英語論文を執筆して投稿中である.しかし,新型コロナウイルス感染症の影響で実験に遅れが生じ,論文投稿に至るまで時間を要したため,現在までの進捗状況としてはやや遅れていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度から2023年度にかけては,①大腿骨形状ごとのステム設置アライメントの解析に加えて,②人工股関節全置換術(以下THA)後の骨盤のアライメント変化に関する研究を行う. まず①に関しては,撮影したCTから大腿骨の形状をFlair indexから stovepipe型, normal型, champangue fluit型の3タイプに分類する.有限解析ソフト上でそれぞれの形状の大腿骨でのマイクロモーションと応力分布を評価する.3タイプの大腿骨内で,マイクロモーションと応力遮蔽や応力集中が少なくなるステム設置アライメントを求める. 次に②に関しては,片側のみTHAを施行した症例と二期的に両側THAを施行した症例を用いてTHA後の骨盤アライメントへの影響を評価する.術前のCTデータから三次元骨盤モデルを作成し,作成した骨盤モデルと,単純X線像の術前,術後1週,術後1年(反対側THAも同様)の仰臥位と立位の骨盤を2D-3Dレジストレーションソフトを用いて三次元化する.THA前後の骨盤の前後傾および側方傾斜に関して比較検討を行う.②の研究を一部開始しているが,症例が少ないため,今後解析を行い症例を増やしていく予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,新型コロナウイルス感染症により,参加を予定していた学会への現地参加ができなかったことが挙げられる. 次年度の使用計画は,現在投稿中の実験の論文掲載料に加えて、次年度行う実験に用いる物品費,実験に関する学会参加および論文の英文校正,論文掲載料に使用する.
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