2022 Fiscal Year Research-status Report
一細胞遺伝子発現プロファイルに基づく骨芽細胞系譜の分化多様性機構の解明
Project/Area Number |
21K09331
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉岡 広陽 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (50523411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉子 裕二 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20263709)
宮宗 秀伸 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (80422252)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨芽細胞は骨形成を担った後、骨細胞や休止期骨芽細胞へと分化するほか、脂肪細胞へと分化転換するなど、多様な細胞運命を辿る。骨芽細胞は多様性に富む細胞集団であり、5つのクラスターに分類されることが一細胞遺伝子発現解析から明らかとなっている。また、幹細胞性・可塑性を兼ね備えた骨芽細胞集団の存在が明らかとなり、このクラスターが分化多様性を生み出す一旦を担っている可能性が考えられる。本研究では、骨芽細胞が生み出す分化多様性と可塑性の分子機構を追い求め、骨芽細胞の分化方向性を制御する分子の同定を目指す。 本年度は幹細胞性・可塑性を兼ね備えた骨芽細胞について、マウス骨組織における局在の解析を試みた。このクラスターに特異的な発現を示す分子CD34およびITM2Aを対象に、免疫組織化学染色法より形態学的解析を行った。マウス頭蓋冠を材料に解析を進めたが、これまでのところ両分子を共に発現する細胞は確認できていない。フローサイトメトリー(FACS)により、このクラスターは骨芽細胞の1パーセント程度に過ぎないことが分かっており、限局した領域に局在する可能性も考えられ、さらなる解析が必要である。また、一細胞遺伝子発現解析のデータから分化を制御すると考えられる機能分子を選択し、MC3T3-E1細胞を材料に、siRNAを用いたノックダウン実験を行った。コントロールと比較して早期に石灰化ノジュールを形成し、骨芽細胞の分化が促進するというプレリミナリーな結果を得ている。つまり、骨芽細胞の分化抑制に機能する分子を同定したと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス骨組織内における幹細胞性・可塑性を兼ね備えた骨芽細胞の局在を明らかにすることができず、研究の進展に時間を要しており、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
一細胞遺伝子発現解析から、各クラスターの細胞に特徴的な発現を示す遺伝子(マーカー遺伝子)を多数見出している。そこで、幹細胞性・可塑性を兼ね備えた骨芽細胞の局在解析については、解析対象に他のマーカー遺伝子も追加し、免疫組織化学染色またはin situハイブリダイゼーション法により解析を進める。特に、骨の発生・成長が盛んな胎仔期から離乳までのマウスを材料として、骨組織内の時空間的分布を明らかにし、発生・分化過程に与える役割を評価する。また、一細胞遺伝子発現解析のデータをさらに詳細に解析し、骨芽細胞の分化を制御すると考えられる機能分子を複数選択する。得られた機能分子について、MC3T3-E1細胞を材料に、siRNAを用いたノックダウン実験を行い、骨芽細胞の分化に与える影響を検証する。
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Causes of Carryover |
マウス骨組織内における幹細胞性・可塑性を兼ね備えた骨芽細胞の局在を明らかにすることができず、研究の進展に時間を要しており、この遅れにより次年度使用額が生じている。次年度は、実験動物(マウス)、組織学的解析に用いる抗体や試薬、細胞培養に用いる培地や培養ディッシュ、siRNAなどの購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)