2023 Fiscal Year Research-status Report
精しょうの質を可視化する新しい男性不妊症診断法および精子保護剤の開発
Project/Area Number |
21K09370
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
村林 奈緒 浜松医科大学, 医学部, 特任准教授 (10378416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗 修平 浜松医科大学, 医学部, 特任講師 (30647607)
高久 康春 東京農業大学, 農学部, 教授 (60378700)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精子 / 精しょう成分 / 不妊治療 / 8-OHdG / クレアチン / 亜鉛 / テストステロン / スペルミン |
Outline of Annual Research Achievements |
精液中の8-OHdG(ng/mL)、クレアチン(μg/mL)、亜鉛(mg/dL)、テストステロン(ng/mL)、スペルミン(mM)の濃度を測定した。その結果、精液成分と精子濃度との相関について、スペルミンは負の相関(r = -0.50)、テストステロンは正の相関(r = 0.42)がそれぞれ観察された。ROC解析では、精子濃度1500万/ml未満を予測する指標としてテストステロンのAUCは0.80、カットオフ値は21.69 ng/mL、スペルミンはAUCが0.78、カットオフ値が0.6 mMであった。また、テストステロンとスペルミンの比を用いることで、精子濃度との相関係数はr = 0.58、精子濃度1500万/mlに関するROC解析でAUCが0.84、カットオフ値が24.9であった。スペルミンの濃度がテストステロンに比べ相対的に高い症例では、それぞれ単独の指標よりも精子濃度との関連性が高いことが示唆された。この結果から、スペルミンとテストステロンが精子形成において相互に影響を及ぼし合っている可能性が考えられ、そのメカニズムの解明は特定の男性不妊症の原因を理解するための重要な手がかりとなりうると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、本課題では8-OHdG、クレアチン、亜鉛、テストステロン、スペルミンの精液中の濃度に加え、精液の粘性の個人差(1.917-6.802 mPa-s)、精しょう由来の分子重合膜の接触角の個人差(11.2°-37.2°)を明らかにしている。これらの結果は同じ男性不妊症であっても精しょうの質に大きな違いがあることの理解つながる成果であり、本研究課題の目的に照らし合わせて、おおむね順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は精しょうの質の可視化による新しい男性不妊症診断法の開発であり、これまで明らかにした種々の精しょうの質がどのように男性不妊症に関与し、どのような治療が可能かを調べていく。また、広く研究成果を公表することで、男性不妊症の理解に重要な精しょうの質についての情報発信をおこなっていく。
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Causes of Carryover |
本研究課題の目的をより精緻に達成するための研究を実施するために、繰り越し金が生じた。
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