2022 Fiscal Year Research-status Report
大阪臨床研究ネットワーク基盤を利用した新規骨転移血液バイオマーカーの多施設研究
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21K09396
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山道 岳 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40882262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 啓之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (00432542)
植村 元秀 福島県立医科大学, 医学部, 特任教授 (40631015)
王谷 英達 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (60727965)
武田 理宏 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (70506493)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | GDPP / 大阪臨床研究ネットワーク / 転移性骨腫瘍 / 血液バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は基礎実験においてヒトの前立腺癌細胞と骨芽細胞と破骨細胞からGDPPが分泌されていることが分かった。さらに作成したリコンビナントタンパクを用いた実験によりGDPPが前立腺癌細胞自身に作用して癌促進的に働くオートクライン作用があることが分かった。また、骨芽細胞と破骨細胞それぞれに対して転写因子の発現亢進と細胞増殖を介して前立腺癌の骨転移を促進させることが分かった。以上のことから前立腺癌においては骨転移巣のviciou cycleを亢進させることで血中GDPP値が加速度的に上昇する可能性が示唆された。今後は前立腺癌の骨転移モデルマウスを用いてGDPPの機能解析をin vivoで行っていく予定である。 ヒト臨床データにおいては前立腺癌患者の血液検体収集を優先的に行い、健常者30名・骨転移の無い前立腺癌患者75名・骨転移のある前立腺癌患者110名で血中GDPP値の臨床的有用性を検討した。結果は、骨転移診断能におけるAUCはGDPP、PSA、OC、BAP、P1NP、TRACP 5bそれぞれで0.91、0.73、0.64、0.63、0.63、0.52とGDPPが既存の前立腺癌や骨代謝に関する血液マーカーのいずれよりも勝っていた。 癌腫横断的な骨転移診断マーカーとしての有用性に関しては現在、大阪大学乳腺外科と神奈川県立がんセンターとの協力関係の下、乳癌・肺癌・前立腺癌・尿路上皮癌・腎癌サンプルを収集中であり今後GDPP値を測定して臨床データと組み合わせて検討していく。
以上の結果を踏まえてまずは前立腺癌の骨転移におけるGDPPの臨床的意義に関して学会発表と論文作成を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、COVID19の影響により多施設共同研究が開始できずにヒト検体の収集に難渋したためその遅れを取り戻せていない。現在は多施設からのサンプルが徐々に集まり始めており鋭意解析していく。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎実験に関してはマウスモデルを用いて骨転移巣の微小環境に対するGDPP投与の影響を免疫組織染色で検討していく予定である。 臨床データは癌腫横断的に乳癌・肺癌・前立腺癌・尿路上皮癌・腎癌患者の骨転移の有無別に血中GDPP値を検討して骨転移診断能を既存の腫瘍マーカーや骨代謝マーカーと比較する。 また、前立腺癌の骨転移患者で測定している骨シンチグラフィにおけるbone scan index(BSI)は骨転移量を画像的に定量化することができるバイオマーカーであるため、このBSIと血液バイオマーカーGDPP、PSA、OC、BAP、P1NP、TRACP 5bとの時系列を考慮した相関関係を調べることで骨転移診断だけでなく骨転移の治療モニタリングとしてもGDPPが有用か検討する。
以上の結果を踏まえてまずは前立腺癌の骨転移におけるGDPPの臨床的意義に関して学会発表と論文作成を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
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Research Products
(4 results)