2022 Fiscal Year Research-status Report
原因不明不育症おける“ネオセルフ”抗体産生機構による病原性自己抗体-抗原の探索
Project/Area Number |
21K09478
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
片山 映 日本医科大学, 医学部, 助教 (10333113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 慶充 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40373013)
杉田 洋佑 日本医科大学, 医学部, 助教 (60774354)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不育症 / 自己免疫疾患 / ネオ・セルフ / SN-APS |
Outline of Annual Research Achievements |
原因不明の不育症患者の内、自己免疫疾患の臨床所見を示すが、病態と関連する既知の自己抗体が検出されない血清学的陰性リン脂質抗体症候群(SN-APS)が一定数含まれる。自己免疫疾患である抗リン脂質抗体症候群は、不育症におけるリスク因子であり、SN-APSにおいても未知の自己抗体が病因として強く関与していることが示唆されている。本研究は、自己免疫疾患の関与が示唆される、SN-APS患者において、ネオ・セルフ抗体産生機構に基づいた、病因となる未知の自己抗原の探索と、その検出法の確立を進めている。 ネオ・セルフ抗体の産生は、炎症刺激等により自己のミスフォールドタンパク質が、非免疫細胞である血管内皮細胞等で抗原提示されることに起因している。引き続きiPS細胞から分化誘導した血管内皮細胞で、炎症刺激(INFγ)により抗原提示を行う主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII分子の発現量の向上を目指した。マーカータンパク質の発現では血管内皮細胞への分化は向上がみられたが、MHCクラスII分子の発現が不十分で、提示される抗原タンパク質の同定に必要な条件を得ていない。 SN-APS患者の流産検体の脱落膜由来の血管内皮初代培養細胞の検討では、不死化した血管内皮細胞を用いたMHCクラスII-抗原複合体の検出条件の予備的検討を行い、患者検体については、学内の倫理委員会において審査中となっている。 血管内皮細胞由来MHCクラスII-抗原複合体の精製・同定では、プロテインA/Gを用いたマグネットビーズによるアフィニティー精製を行っている。抗原タンパク質の同定精度向上の為、非特異的結合による夾雑タンパク質の低減を目的として、パパイン酵素処理による抗原認識部位-抗原タンパク質複合体の抽出条件の検討を行い、純度の向上が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
iPS細胞由来の血管内皮細胞の検討では、アフィニティービーズによる精製条件の検討で、微量、高感度化が図られたが、免疫沈降による精製、抗原タンパク質の同定に必要なMHCクラスII-抗原複合体の発現量には至っていない。 ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)での検討では、MHCクラスII-抗原複合体に含まれる抗原候補タンパク質の同定が可能となる発現量が確認されていることから、患者検体からの血管内皮細胞の分離と、その初代培養細胞による、MHCクラスII-抗原複合体の発現量の確認を進めている。動物組織、不死化細胞等を用いて予備的な検討を行い、患者検体である脱落膜による解析は倫理委員会の審査待ちとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
自己免疫疾患検体由来のiPS化細胞及び、脱落膜由来の血管内皮初代培養細胞によるMHCクラスII-抗原複合体の検出条件の検討を行う。iPS細胞の作製法と血管内皮細胞への分化度及び、MHCクラスIIの発現量の相関を解析し、発現量の向上を進める。
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Causes of Carryover |
MHCクラスII-抗原複合体の発現条件検討の遅れから、培養のスケールアップ、臨床検体の解析に掛かる支出が無かった為。
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