2022 Fiscal Year Research-status Report
3世代コホート調査を用いた生殖補助技術特有のゲノム遺伝子異常の探索的研究
Project/Area Number |
21K09487
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 淳史 東北大学, 大学病院, 助教 (00554403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 準一 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60280880)
立花 眞仁 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (30431571)
渡邉 善 東北大学, 大学病院, 講師 (40722567)
志賀 尚美 東北大学, 大学病院, 講師 (20595558)
久野 貴司 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (40897881)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生殖補助医療(ART) / 体外受精(IVF) / 顕微授精(ICSI) / 三世代コホート調査 / ゲノム変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は東北メディカル・メガバンク機構UnitC下でART例、非ART例のトリオでの全ゲノム情報を用いて、ART特異的なゲノム異常の探索を行なっている。具体的にはまず、三世代コホート調査の調査票から、親子関係、年齢、妊娠方法(狭義の体外受精か、顕微授精か、それ以外か)などの基本情報を抽出する。その中でも当機構で既に全ゲノム解析が終了しているサンプルが研究の対象になる。現時点では5万人の全ゲノム解析が終了しているが、その中でもトリオ全ての解析が終了したものは1200トリオ程度、また、さらにその中で妊娠方法が明らかになっているものは200トリオ程度に限定される。 現在はそれらのトリオを対象に、次世代に受け継がれるde novo 変異を抽出している。抽出したトリオの全ゲノム解析結果に対して、両親から受け継いだもの以外のゲノム変化(de novo変異)の抽出をおこなっている。具体的には、構造異型(欠失、重複、逆位など)を、コピー数変化を元に解析している。さらに、片親性ダイソミーも解析の対象としている。片親性ダイソミーとは、片親由来のアレルが、児の両方のアレルで観察される状態である。片親由来の片方のアレルが複製され児の両方のアレルで確認されるものをアイソダイソミー、片親由来の両方のアレルが児に引き継がれるものをヘテロダイソミーと呼んでいるが、今回は数々の報告から顕微授精が児の分節型の片親性アイソダイソミーを引き起こすのではないかという仮説の上、これらの解析を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この類の研究においては、サンプルの抽出作業が非常に重要であり、かつ、最も時間を要する作業の一つではあるが、研究者のスキルアップに伴い、正確かつスムーズな情報処理が可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年現在、全ゲノムを用いた分節型の片親性アイソダイソミーに対する確立された抽出方法はない。今回の研究では、分節型の片親性アイソダイソミーの抽出方法として独自のアルゴリズムを用いて抽出することを試みており、それによって抽出された領域を媒精法別に比較することを目指している。 さらに、ゲノム研究には多数あるゲノム解析ツールをうまく組み合わせることや適切なquality controlを設定することが非常に重要である。解析ツールそれぞれにシステムエラーを持ち合わせており、それらの特性を理解した上での研究の進行が求められる。
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Causes of Carryover |
現在はトリオを対象に、既存のソフトウェアを用い、次世代に受け継がれるde novo 変異を抽出している過程である。そのため、新規ソフトウェアの購入、および核酸実験のための試薬の購入がなく、未使用額が生じた。 ゲノム解析や解析結果の分析技術は日進月歩であり、特にここ数年のソフトウェア開発の急増に伴い、研究者には知識や技術のアップデートが強いられている。そのため、次年度は研究を推進する上で必要不可欠なソフトウェア、参考図書等の購入、およびデータ解析補助CRCの人件費に使用する予定である。その他にも、解析結果の学会発表、および情報収集のための出張費の支出も計画している。
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