2022 Fiscal Year Research-status Report
早期難聴発症モデルにおける内耳障害の病態メカニズムの解明と予防法の開発
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21K09567
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
中澤 宝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40892245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三瓶 紗弥香 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20622301)
高橋 恵里沙 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20875546)
櫻井 結華 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (50307427)
宇田川 友克 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60328292)
小林 博司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90266619)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 早期難聴発症モデル / 内耳障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
65歳以上の高齢者における難聴者数は1,650万人以上と推計されており、加齢に伴う難聴の罹患者数を減らす予防医療の実現化は国民的課題である。しかしながら、加齢に伴う難聴の発症メカニズムの解明は世界的にもあまり進んでおらず、難聴が進行して補聴器が必要となるケースが少なくない。加齢性難聴は不可逆的に進行する内耳蝸牛の老化が原因と考えられ、難聴発症機構を明らかにして、予防戦略を具体化する事は超高齢化した我が国の喫緊に対処すべきテーマであると思われる。
早期(幼少期)に難聴を発症する疾患症例の臨床像を詳細に明らかにする臨床研究を行った。加齢性難聴初期に一般的な高音障害型の難聴を小児期に発症し、加齢とともに進行する疾患としてファブリー病をわれわれの研究グループは過去に報告している。この研究成果を深く掘り下げる目的で、ファブリー病患者の聴力検査を含む生理学的・生化学的臨床検査データや国際的な種々の自覚症状アンケート等の解析を行った。この結果、耳鼻咽喉科領域の生理学的な臨床検査データと比較して、難聴およびめまいの自覚症状が強い若年者が存在することを見出した。また、今回解析したファブリー病患者のうち38%において急性感音難聴をきたしたことが明らかとなった。
研究採択後の情報収集作業の中で、当初予定していた遺伝子改変モデル動物を用いたファブリー病の難聴発症に関する詳細な解析データを海外の有力研究グループが近々論文投稿する予定であることが明らかとなり、本年度は、諸臓器における加齢性変化の解析実験に頻用されているDark Agoutiラットの雄個体において聴覚検査(ABR検査)等をおこなった。これらの研究結果を基盤として、早期に難聴を発症する病態解明を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
早期(幼少期)に難聴を発症する疾患症例の臨床像を詳細に明らかにする臨床研究を行い、データが集計された。しかし、早期難聴発症モデルとなりえる動物の再選定作業が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
早期(幼少期)に難聴を発症する疾患症例の臨床像を詳細に明らかし、早期難聴を発症するモデル動物Xの加齢による聴力変化や内耳蝸牛の変性状況を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究採択後の情報収集作業の中で、当初予定していた遺伝子改変モデル動物を用いたファブリー病の難聴発症に関する詳細な解析データを海外の有力研究グループが近々論文投稿する予定であることが明らかとなり、早期難聴発症モデルとなりえる動物の再選定作業が必要となったため。
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