2022 Fiscal Year Research-status Report
新規難聴原因遺伝子SLC12A2の分子病態解析と治療標的の探索
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21K09598
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
務台 英樹 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (60415891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良 清光 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部, 研究員 (40260327)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 難聴 / 原因遺伝子 / ゲノム編集 / 疾患モデル動物 / 網羅的発現遺伝子解析 / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、代表者が同定・報告した新規難聴原因SLC12A2のモデルマウスの病態解析を通じて、本遺伝子が真の難聴原因であることを証明することである。 令和4年度は、前年度に引き続き、Slc12a2 exon 21スプライス変異を導入したマウス2系統(Em1, Em2と称する)のうちEm2系統蝸牛における網羅的発現遺伝子解析を実施した。難聴を示すEm2/Em2および聴力正常の野生型ホモ4週齢のマウス各3頭より全蝸牛組織から抽出した高品質total RNAを用い、文部科学省先進ゲノム支援の助成を得てRNA-sequencingを実施し、Em2/Em2蝸牛において発現量が野生型の2倍以上となる142遺伝子、半分以下となる554遺伝子を見出し、Gene Ontology解析も実施した。これらのうち複数の遺伝子産物について、実際にqRT-PCR法を用いて生後1日、12日、および4週齢における発現量を測定しEm2/Em2, Em2/+, および野生型蝸牛間で比較検討した。一部の遺伝子については免疫組織化学解析による検討を開始した。 また、Em2系統と表現型 (ABR閾値) が異なり、導入された変異がEm2とわずかに異なるEm1マウス系統について、Slc12a2発現産物の解析を実施し、スプライシングアッセイ用のベクターを作成し解析を実施した。さらに、以前に作成したヒトゲノムを用いたスプライシングアッセイ用ベクターの結果とも比較した。これにより、exon 21アクセプターサイト上の塩基配列の差異がスプライシングに与える影響を及ぼすことが明らかとなった。脊椎動物100種類における、Slc12a2のexon 21スプライシング領域塩基配列との比較検討も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の文部科学省 新学術領域研究「先進ゲノム支援」(16H06279 (PAGS))の協力を得て、モデルマウスの蝸牛組織を用いた網羅的遺伝子発現量解析をRNA-seq法により実施できた。Slc12a2を原因とする遺伝性難聴の発症分子病態の一部解明ができたと考えており、当初の計画をはるかに上回る結果を得ている。一方、令和4年度に計画した蝸牛内電位測定は、手技習得の困難さを原因として、意義のある成果が得られなかった。以上により、進捗状況は「おおむね順調」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、Slc12a2 exon 21スプライス変異による蝸牛組織に対して発現量が変動する遺伝子群と過去文献とを比較し、発症分子病態を考察する。顕性遺伝形式DFNA78の原因であるSLC12A2がモデル動物であるマウスでは潜性遺伝形式で難聴を呈する理由、exon 21スプライシング機構の解明により、ヒトとマウスを含む他の脊椎動物間の種差についても考察を加える。令和5年度中に論文を作成・投稿する予定である。 本研究で必要とされる実験手技手法は多岐にわたり、単独研究の限界を痛感している。今後は、研究展開と本遺伝子を原因とする難聴の治療法探索のために、幅広い分野にわたる専門家を集めた共同研究体制の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
令和4年度は分子生物学的実験、細胞実験、組織化学的実験にかかる消耗品に多くを費やした。コロナ禍による制限と旅費・宿泊費高騰のため国際学会への発表を取りやめたが、令和5年度には論文投稿とともに発表の機会を増やし、研究成果の広報にも努めたい。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Molecular basis of carotid body tumor and associated clinical features in Japan identified by genomic, immunohistochemical, and clinical analyses.2023
Author(s)
Keisuke Yoshihama, Hideki Mutai, Mariko Sekimizu, Fumihiro Ito, Shin Saito, Shintaro Nakamura, Takuya Mikoshiba, Ryoto Nagai, Akiko Takebayashi, Fuyuki Miya, Kenjiro Kosaki, Hiroyuki Ozawa, Tatsuo Matsunaga
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Journal Title
Clin Genet
Volume: 103
Pages: 466-471
DOI
Peer Reviewed
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