2021 Fiscal Year Research-status Report
Genetic tracing to reveal the whole brain mapping of taste information processing
Project/Area Number |
21K09828
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉田 誠 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50235884)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 味覚 / ニューロン / 発生工学的トレーシング |
Outline of Annual Research Achievements |
苦味受容味細胞に選択的にトレーサー(WGA-DsRed)を発現するトランスジェニックマウスにおいて、味細胞から移行したWGA-DsRedを受け取る苦味経路ニューロン細胞体の網様体・扁桃体における局在をDsRedの蛍光検出により明らかにし、それらの局在と細胞機能との対応を探究した。網様体において、苦味経路ニューロンは孤束核後方部に局在する苦味経路ニューロンに近接して、それらの腹側後方のlateral側に集積して観察された。網様体の苦味経路ニューロンが苦味情報を選択的に受け取り処理するか、他の味覚情報や内臓感覚情報も受け取り情報処理を行うかを、各種刺激後のc-fos発現を指標として検出した。無刺激時に比較し、口腔内苦味刺激は網様体の苦味経路ニューロン中でc-fosを発現誘導するニューロンの割合を増加させた。低濃度塩味刺激および内臓感覚不快感を惹起するLiCl腹腔内投与によってもc-fosを発現誘導する苦味経路ニューロンが高頻度に観察された。網様体の苦味経路ニューロンは口腔内への苦味・低濃度塩味刺激および内臓不快感を惹起する刺激に共通した応答を誘発することに関与する可能性が考えられた。扁桃体でWGA-DsRedにより標識され可視化限定される苦味経路ニューロンについて、味覚嫌悪学習の獲得前後で味覚条件刺激への応答性に変化が生じるかを最初期遺伝子Zif268の発現を免疫組織化学的に検出することにより探究した。扁桃体内側核を前方背側、前方腹側、後方背側、後方腹側の4区画に分けた際、前方背側、前方腹側、後方背側の苦味経路ニューロンにおいては、味覚嫌悪学習獲得前に比較し学習獲得後に味覚条件刺激(甘味刺激)で活性化されるようになるニューロンが顕著に増加することが明らかとなった。味覚による条件刺激(甘味刺激)で活性化される苦味経路ニューロン数の増加は消去記憶の獲得後にも残存して観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網様体・扁桃体の脳領域で苦味受容味細胞から移行したWGA-DsRedを受け取る苦味経路ニューロンの細胞機能を単一細胞レベルで解析し、網様体の苦味経路ニューロンの三次元的空間配置と細胞機能との連関について、および扁桃体の苦味経路ニューロンの味覚嫌悪学習獲得時および消去記憶獲得時における細胞活性の特徴について知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
苦味もしくは甘味受容味細胞に選択的に経ニューロン性トレーサー(WGA-DsRed)を発現するトランスジェニックマウスにおいて、①味細胞から移行したWGA-DsRedを受け取る苦味・甘味経路ニューロンの細胞体が、橋・扁桃体・網様体等の脳領域内でどのような三次元的空間配置を示すかをDsRedの蛍光検出により明らかにする。②苦味・甘味経路ニューロンの微細形態を、WGA-DsRed標識ニューロン内へ蛍光色素・biocytinを注入することにより解明する。③苦味・甘味経路ニューロンの活性制御機構をc-fos(Zif268)発現誘導検出・パッチクランプ法・カルシウムイメージングにより解析し、応答特性・シナプス伝達分子機構・neuromodulatorによるシナプス伝達修飾機構を解明する。④苦味・甘味経路ニューロンの発現分子を免疫組織学的に検出しニューロン種を同定する。そして橋・扁桃体・網様体等の各脳領域で、苦味・甘味経路ニューロンの①局在、②微細形態、③保有する細胞機能、④ニューロン種の連関を解明し、苦味経路ニューロンと甘味経路ニューロンの間で比較する。さらに順行性・逆行性トレーサーを特定脳部位に注入し、順行性・逆行性に神経経路をトレーシングすることにより、味覚経路と各味覚経路を構成するニューロン種を上行性経路に沿って明らかにする。延髄孤束核・橋・扁桃体・網様体等の各脳領域で、苦味・甘味受容味細胞から移行したWGA-DsRedを受け取る苦味・甘味経路ニューロンを、DsRed蛍光を指標として一細胞ごとに単離・回収し、回収されたシナプス前後の2種のニューロン間で、そして苦味と甘味経路ニューロン間で、多次元的に、発現分子(回路構築やシナプス伝達に関与する分子)を比較解析する。そして苦味・甘味経路のそれぞれを選択的に構築する機構を解明する。
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Research Products
(2 results)