2022 Fiscal Year Research-status Report
死細胞貪食による口腔がん細胞活性化:脂質クオリティが果たす役割を探る
Project/Area Number |
21K09856
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山崎 学 新潟大学, 医歯学系, 講師 (10547516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 達也 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70634856)
丸山 智 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30397161)
冨原 圭 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70404738)
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80242436)
田沼 順一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20305139)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 死細胞貪食 / 口腔がん / 脂質クオリティ / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞は正常細胞とは異なる脂質代謝を有することが知られ、近年、がんにおける脂質クオリティ(脂質組成)の重要性が示されつつある。我々はこれまでに、口腔扁平上皮癌細胞は同種死細胞に対する貪食能を有すること、さらに死細胞貪食により細胞機能が活性化されることを報告してきた。そこで、本研究課題では「死細胞貪食を起点としたがん細胞活性化の機序に、死細胞由来脂質によってもたらされる脂質クオリティ変化が関与する」という仮説の検証に取り組んでいる。本年度、以下の検討を実施した。 1) 死細胞貪食による細胞内コレステロール量の変化:口腔扁平上皮癌由来培養細胞を、紫外線照射により誘導した同種アポトーシス細胞と共培養し、細胞内コレステロール量を酵素定量法で計測したところ、単独培養と比較して約1.4倍まで増加した。本結果は、コレステロール結合性蛍光色素Filipin IIIによる染色でも確認された。 2) 細胞内コレステロール増加による細胞機能変化の検討:1)で死細胞貪食後に細胞内コレステロールが増加することが示された。そこで、細胞内コレステロール増加が口腔がん細胞の活動性に及ぼす影響を検討した。コレステロール-methyl-β-cyclodextrin複合体を用いて細胞内コレステロールを増加させると、細胞遊走能が有意に上昇し、コレステロール増加に伴ってコレステロール結合蛋白質であるcaveolin-1が細胞膜上に非対称性に分布すること、そして、caveolin-1の非対称性分布が細胞遊走能亢進に関連することを示した。本成果はInternational Journal of Molecular Sciences誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の検討から、死細胞貪食による細胞機能活性化機序の一つとして、細胞内コレステロール量増加が端緒となる可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内コレステロール増加に引き続いて生じうる分子機序について検索を行うとともに、コレステロール以外の脂質に関しても検索する。
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Causes of Carryover |
COVID-19により学会発表がウェブ形式となったため、計上していた旅費が不要となり残額が生じることとなった。残額は次年度分の助成金と合算し、計画に沿って有効活用したい。
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Research Products
(5 results)