2022 Fiscal Year Research-status Report
硬組織誘導能と炎症制御能を具備する新規直接覆髄材の開発とその臨床応用への展望
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21K09870
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川島 伸之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60272605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
興地 隆史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80204098)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カルシウムイオン / ケイ酸カルシウム / 硬組織形成 / 抗炎症作用 / 歯髄細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯内療法において広く使用されているミネラルトリオキサイドアグリゲート(MTA)には、硬組織形成能のみならず炎症抑制作用があり、その抗炎症作用はMTAより放出されるカルシウムイオンが深く関与していることがすでに明らかになっている。今回、ケイ酸カルシウム系根管充填用シーラーの硬組織誘導能および抗炎症作用について検討した。ケイ酸カルシウム系根管充填用シーラーとしてBio-C Sealer (BioC)、Well-Root ST (WST)、EndoSequence BC Sealer (BC)を用い、コントロールとしてエポキシレジン系シーラーであるAH Plus Jet (AHP)を用いた。これらのサンプルを硬化させ、3mlの蒸留水に24時間浸漬し、シーラー抽出液を作成した。硬組織形成能の検討にはKusa-A1細胞、抗炎症作用の検討にはRAW-264.7細胞を使用した。その結果、BioC、WST、BC抽出液存在下で培養したKusa-A1細胞において、は有意に骨芽細胞マーカーであるオステオポンティンとオステオカルシンのmRNA発現が増加し、石灰化結節形成が亢進した。またLipopolysaccharides(LPS)にて刺激したRAW264.7細胞において、有意に炎症性メディエーターであるIL-1a、IL-1b、IL-6、TNFaのmRNA発現が亢進していたが、BioC、WST、BC抽出液を添加すると、これらの発現は有意に低下した。BioC、WST、BC抽出液には約300~1000mg/Lのカルシウムイオンが存在しており、このカルシウムイオンが硬組織形成および抗炎症作用に関与した可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硬組織形成と抗炎症について、放出されたカルシウムイオンが重要であるとの所見を再現することができた。今後さらに直接覆髄材においても確認し、新しい材料の開発につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
カルシウムのみならずストロンチウムにも硬組織誘導能があることについて確認している。今後カルシウムとストロンチウム両方をリリースする材料を開発し、歯内療法に応用したいと考えている。
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Causes of Carryover |
Covid-19による物品の欠如、搬入の遅延により、予定していた実験の一部が遂行できなかったため。次年度にて予定通り行う予定。
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Research Products
(12 results)