2023 Fiscal Year Annual Research Report
硬組織誘導能と炎症制御能を具備する新規直接覆髄材の開発とその臨床応用への展望
Project/Area Number |
21K09870
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川島 伸之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60272605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
興地 隆史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80204098)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 直接覆髄 / 歯髄炎 / 生物活性 / セリウム酸ストロンチウム / ポルトランドセメント / MTA |
Outline of Annual Research Achievements |
直接覆髄材として具備すべき要件として、高い生体親和性とともに、硬組織誘導能といった生物活性を有する材料の開発が急務である。我々はこれまでに、ストロンチウムイオンを放出するセリウム酸ストロンチウムは水和反応で硬化することを明らかにした。しかし、28日放置したセリウム酸ストロンチウムの圧縮強度は1日経過サンプルと比較して有意に減少していた。この結果を踏まえ、圧縮強度を保ちつつストロンチウム放出能を有する新しい直接覆髄材を開発する目的で、ケイ酸3カルシウムを含むポルトランドセメント(ネオホワイトピュア)にセリウム酸ストロンチウムを30%添加し、その物性を評価することにした。その結果、1日目ではネオホワイトピュア単味と比較し、セリウム酸ストロンチウム30%添加群では圧縮強度の低下が認められた。またセリウム酸ストロンチウムを30%添加したサンプルのレントゲン不透過性を検討したところ、酸化ビスマスを含有する代表的なMTAセメントであるプロルートと比較してより強いレントゲン不透過性を示した。以上の結果は、ネオホワイトピュアにセリウム酸ストロンチウムを30%添加することで、直接覆髄材として十分な物性を示すとともに、ストロンチウムイオンの放出による生物活性の向上が期待できる。今後、歯髄細胞を用いた細胞培養による評価、およびラットあるいはマウス臼歯に形成した窩洞に填入し、その硬組織誘導能および炎症抑制作用について評価していく予定である。
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Research Products
(7 results)