2021 Fiscal Year Research-status Report
歯髄の創傷治癒・再生過程におけるGli1陽性幹細胞の動態と分化誘導機構の解明
Project/Area Number |
21K09914
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉羽 邦彦 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30220718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉羽 永子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10323974)
枝並 直樹 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80804567)
細矢 明宏 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70350824)
入江 一元 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70223352)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯髄 / 創傷治癒 / 間葉系幹細胞 / Gli1 / バイオセラミックス |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の保存には歯髄の保護・保存が重要であり、直接覆髄や一部生活歯髄切断など歯髄保存療法が、また失われた歯髄に対しては再生歯内療法が試みられている。しかし根管内に形成される硬組織はセメント質あるいは骨様組織であり、理想的な「象牙質・歯髄複合体の再生」には至っていない。また、より迅速かつ確実な処置法の開発が望まれている。本研究では、歯髄の創傷治癒・再生過程において中心的役割を果たすと考えられている間葉系幹細胞の動態について、転写因子Gli1発現をマーカーとして細胞系譜解析により検索するとともに、覆髄材・根管充填材として注目されているバイオセラミックス配合材料の歯髄創傷治癒に与える影響について検討した。 遺伝子改変(Gli1-CreERT2/Tomato)マウスにおいて、Gli1陽性細胞は歯根膜および歯髄の血管周囲に散在性に認められること、また、臼歯歯根膜から分取されたGli1陽性細胞はコロニー形成能、多分化能を示し幹細胞特性を持つことが明らかにされた。これらの結果から、再生歯内療法応用後の治癒過程、特に硬組織形成におけるGli1陽性細胞の関与が示唆された。一方、バイオセラミックス配合覆髄材・根管充填材のin vitro・in vivoにおけるアパタイト析出能を検討した結果、すべての被験材料は疑似体液中でその表面にCa-Pを含むアパタイト様構造物を析出させたが、ラット皮下移植実験では、材料間にその析出能の差異が認められた。また、レジン含有ケイ酸カルシウム(MTA)系セメントは断髄後、CD68陽性マクロファージの持続的な浸潤と修復象牙質形成の遅延が観察され、材料選択の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19拡大の影響で、当初予定していた遺伝子改変マウスを用いた直接覆髄実験が実施不可となった。そのため、歯髄保存療法・再生歯内療法に応用されるバイオセラミックス配合覆髄材・根管充填材の歯髄創傷治癒・再生に与える影響について検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変(Gli1-CreERT2/Tomato)マウス臼歯に直接覆髄処置を施し、Gli1陽性細胞の動態について観察を行う予定である。また、歯根膜および歯髄組織からGli1陽性細胞を分取し、これら培養細胞に対して象牙芽細胞分化誘導・決定因子の同定を試みる。さらに、Gli1陽性細胞を皮下移植し、その組織再生・硬組織形成能について検討するとともに、断髄あるいは抜髄後の細胞分化誘導因子応用による組織再生能を組織学・免疫組織化学的に観察し、その効果について検証する。
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Causes of Carryover |
COVID-19拡大の影響で、当初予定していた北海道医療大学での遺伝子改変マウスを用いた実験が実施不可となったため、計上していた旅費および滞在費を次年度に使用することとした。
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Research Products
(5 results)