2023 Fiscal Year Annual Research Report
セリアジルコニアインプラントの軟組織接着に関する先進的研究
Project/Area Number |
21K10009
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
岩佐 文則 昭和大学, 歯学部, 客員教授 (60297025)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジルコニアインプラント / セリア安定化ジルコニア/アルミナナノ複合体 / 軟組織付着 / 線維芽細胞 / 上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,工業分野で接着力の評価法として確立されているナノスクラッチテストを応用し,ヒト歯肉線維芽細胞 (HGF-1)および産生された細胞外マトリックスとCe-TZP/Al2O3との付着力を定量的に評価することで,より強固なシーリングを得るための表面性状を解明することを目的とした. Ti,Ce-TZP/Al2O3で基盤を製作し, それぞれ機械研磨,鏡面研磨を施した.走査電子顕微鏡,原子力顕微鏡で表面形態を観察した.また細胞形態,接着性タンパク質の発現量を評価するためにTalin1,Actinに対して免疫染色およびTalin1,Paxillin,Vinculinに対してqPCRを行った.基盤上のHGF-1および産生された細胞外マトリックスに対してTriboindenterを用いてナノスクラッチテストを行い,基盤から剥離する際の臨界荷重値を測定した.基盤の表面形態分析により,機械研磨面でRa0.9の均一な線形構造と鏡面研磨面でRa0.02の滑らかで平坦な構造が認められた.qPCRにおけるTalin1,Vinculinの発現は両基盤とも鏡面研磨面上で有意に高かった.ナノスクラッチテストによって得られた臨界荷重値は両基盤ともに鏡面研磨面上で有意に高かったが,両者の比較では統計学的有意差は得られなかった.上皮細胞(JE-1)についても同様の試験を行った.接着性タンパク質はCadherin-1,Integrinβ4,Lamininα5をターゲットに発現を比較したところ鏡面研磨施したCe-TZP/Al2O3上で有意に発現していた. 以上の結果から本研究では鏡面研磨面を持つCe-TZP/Al2O3は軟組織とより強固なシーリングを獲得することが示唆された.
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